【映画】「マーターズ」感想・レビュー・解説

これは凄い映画だったなぁ。ムチャクチャだった。とにかくムチャクチャで、で、面白かったなぁ。普段ホラーとか全然観ないけど、良かった。ってか、別に「ホラー」ってジャンルに括るのが最適な映画なのかはよく分からないけど。

しかし本作に関してはホント、ほとんど内容に触れようがないんだよなぁ。

僕の体感では、物語の中で3~4回ぐらい、展開がガラッと変わる。いや、もっと細かく見ていくなら展開の数はもっと全然多いと思うけど、大きな展開だけでも3~4回は変わるな。マジで先が読めない。いや、僕は全然先が読めるタイプの人じゃないから参考にならないけど、でもこれは読めないだろう。ムチャクチャだもんなぁ。ってか100分の映画なのか。もっと長いかと思ってた。展開の多さからすると、100分は短い印象だ。

というわけで、物語の相当手前のところまでで内容紹介を留めておこうと思う。

物語は1971年10月16日から始まる(いや、これは劇中劇であるドキュメンタリー映画の撮影日かもしれないが)。リュシーという少女が憔悴した状態で発見されたのだ。性的虐待こそなかったものの、彼女が長い間監禁・拷問されていたことは明らかだった。彼女はある病院の小児科で治療を受けたのだろう、そしてその後児童養護施設みたいなところで生活を始める。冒頭のドキュメンタリー映画は、その小児科が記録のために撮っておいたものであり、リュシーが監禁されていた廃倉庫を映したり、児童養護施設で生活するリュシーを映したりしている。

そんな児童養護施設でリュシーと一番仲良くなったのがアンナだ。彼女は、入所したばかりでみんなと馴染めない(というか、馴染めないのはその後もずっと変わらなかっただろうが)リュシーを気遣い、サポートしていた。同じ部屋で寝起きしていて、一番の親友と言っていい存在である。しかしそんなアンナにさえ、リュシーは監禁されていた頃のことをほとんど何も話さなかった。そのため、監禁していた人物はおろか、その目的もまったく不明なままである。

それから15年の月日が流れる。画面には幸せそうな家族が映し出される。妹が水泳の大会で優勝し、新聞に載ったようだ。日曜日、父母と兄妹の4人が他愛もないやり取りを繰り広げる朝の様子だ。

そんな中、玄関のチャイムが鳴る。日曜の朝っぱらから誰だろう。父親が玄関のドアを開けると……。

というような話です。公式HPにはもう少し先まで内容が触れられているが、僕はこの辺りに留めておこうと思う。

冒頭でも少し触れたが、個人的には別に「ホラー」ではないと思うし(ただ、最初の30分ぐらいはホラー映画っぽいかな)、だからホラー映画だと思って観に行かない方がいいんじゃないかなという気はする。「何だよ、別にホラー映画じゃないじゃんか」みたいなミスマッチは、ちょっともったいないなと思うので。

で、僕が書いた内容紹介の「玄関のドアを開ける」ってところから、まあ怒涛の展開で。で、そんな怒涛の展開の中でさらに何度も物語のテイストが変わっていく。だからずっと、「えっ、これ何の話なん?」ってなる。100分の間に目まぐるしく展開が変転していくので、「えっ?えっ?えっ?」って思ってる内に最終盤の展開に行き着く、みたいになる。

最終盤の展開は結構ゆったり目の描写になって(ただ、時間の流れがゆっくりしているだけで、描かれている状況は凄まじくハード)、そこからは「怒涛」という感じではなくなるが、またちょっと別の異様さみたいなものが醸し出されて、ホント「何を見せられてるんだ?」って感じになる。

で、最後の最後の展開は、正直日本人にはあんまりピンと来ないかもなぁ、という気はする(どうだろう)。「マーターズ」というのは英語では「Martyrs」という表記で、これは「殉教者」という意味のようだ。だから「マーターズ」の意味を知った上で観ると「なるほど、そういうところに着地するのね」となるかもしれないが(にしても、日本人にはあまり馴染まないだろう)、「マーターズ」の意味を知らないと余計意味不明という感じになる。っていうか、なんていうのかなぁ、「えっ、そんなことのために???」みたいに思えてしまうというか。

ただ、確かにラストはあまりしっくり来なかったのだが、全体としての満足度は高い。「なんか凄いものを観たな」という高揚感みたいなものが強烈だからだ。

いやーしかしホント、この映画の感想ってマジで何を書けばいいんだろうか。ストーリーはあるようで無いんだけど、終始「緊張感マックス」という感じで、しかもその「緊張感」のタイプが場面ごとに変わっていく。ジェットコースターに乗ってると思ってたらいつの間にかお化け屋敷にいた、みたいな不思議な感じがあって、よくもまあこんなムチャクチャな物語が成り立っている(成り立っているように見える)ものだなと思う。凄かった。

1つだけケチをつけると、「アンナがリュシーにそこまで肩入れする理由」がもうちょっと伝わる何かがあったら良かったかな、と思う。別に今のままで悪いわけじゃないけど、やっぱりちょっと「アンナはどうしてそこまでリュシーを守ろうと思えるんだろう?」みたいな部分は気になっちゃうかな。よほどの気持ちがないと出来ないことばっかりしてるからなぁ。まあでも逆に言えば、「そういうことが出来ちゃうぐらい強い関係性なんだ」という形で関係性の強さを明示している、みたいな感じなのかな。

というわけで、ストーリー的な部分には触れられないことが多すぎるので、断片的なことをあーだこーだ書こう。

まず、本作の主人公を演じた女優は相当身体を張ってるなと思う。15年後の物語中、彼女が出てくる場面はほぼすべて「ハードな状況」と言っていいと思うが、特に最終盤の展開は身体張りまくりって感じで凄い。役作り、相当ハードだったんじゃないかな。

あと、物語の途中で出てくる、目隠しされた女性が病的に細くてヤバい(まあ、そういう役どころなのだが)。普通の役者にあそこまでの減量を課すのは色々問題がありそうな気がするレベルだから、元々拒食症みたいな人を使ってるのかなぁ、とか思う。分からんけど。そうじゃないとしたらちょっと成立しないと思うんだけどなぁ。

あと、この映画の死体役の人たちもメチャクチャ大変だっただろうなと思う。最後までかなり酷い扱われ方だった。まあ、顔が見えないシーンはスタントだったりするのかもだけど、にしても全部じゃないだろうし、こちらも結構身体張ってるなと思う。

というわけで、そんな身体張りまくりな映画で、とにかくホントに「なんか凄い」って感じの映画だった。観に行く予定の人は何も調べたりせずに観に行った方がいいと思う。ちなみに、犬猫含め動物は死ななかったはず(確か)。


いいなと思ったら応援しよう!

長江貴士 サポートいただけると励みになります!

この記事が参加している募集