花散らしの雨




夕刻に 

 降るな降るなと

      桜雨


………


空が泣き出したのは

少し前のことだ。


この季節は、どうしても雨が降る。

桜の花が毎年こうやって

落ちていくというのは知っている。


けれど、どうしても

いつだって、悲しくなる。


鮮やかな季節は短いものだ。

もっと永く続いて欲しいと

どれだけ願ったところで

その願いが叶うことはないのだ。


その儚さが好きなのだ。

それだって理解している。


けれど、強がりにも思えるんだ。

だって、みんな願うでしょう。


良い夢が永く続くことを。


いっそのこと

もう二度とその夢から醒めなければいいと。


でも、すぐに醒めて

私たちは歩き出す。


それは生きるものの責務だ。

足を止めた誰かから

進むことを託されるのだから。


そんなことを考えながら

私は、雨宿り。


降るな、降るなと願った雨は

もうすぐ止むだろうか。


空からは涙のような雨。


桜が落とされて嫌でも季節は、廻っていく。


             「花散らしの雨」

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