バンビーノ いるにるごぷ。
波の音が足に直に伝わってくるようだった。垂直に落ちていくような崖の下では今まで見たことないような波が打ちつけているんだろう。
ビーノとヨメが座って崖の端に寄っていき下をのぞきこもうとしてる。二人の風になびく髪を見ているだけで背中にいやな汗をかきはじめた。
こっち来て見てみなさいよ。すごいわよ。
ケイ、ちょっと待ってて今写真撮ってあげる。
ビーノがさらに身を乗り出した。
ヤメロ!
大丈夫だよう。ほら、見て波がすごいの。
ビーノとスマホを見ているとヨメがぐいぐいと間に入り込んできた。
おい。
また二人で私を除け者にしようとしてるでしょ。夜中に二人だけで散歩なんてズルいのよ。
ごめんねえ、起こすの悪いなあって。あ、そうだ、今夜パブに一緒に行かない?今日ダニエルと二人で行くんだけど一緒にどう?
昨日、ご挨拶に寄ったお店?
そうそう、週末にいつも二人で行くの。
いいの?
いいよお、みんなも変わったお客さんくると喜ぶもん。
じゃあ行っちゃう?
ヨメがオレを見た。
ジャマにならないか?
いてくれたほうが助かるかも。二人だと、しーんとしちゃうんだよねえ。運転してくれるローラがひとりで喋ってるかも。
なによそれ、お父さんって甘えちゃえばいいじゃないの、名前なんて呼んじゃってよそよそしいんだから。お母さんのことはママ呼びなのに寂しいわよきっとお父さんは。
んー、でも。
養子になるって話はどうなったんだ?
まだ。だっておばあちゃんがひとりぼっちになっちゃう。
それもそうねえ。
僕の話はいいの!パブ行こうよ。みんな歌ったりして楽しいよ?
あ、じゃああんたたち二人で歌ってくれる?
じゃあ事前リクエスト受付けまーす。
はしゃぐ二人の声を聞きながら草むらに寝そべってみた。
青空を雲が勢いよく流れていく。
もっと雨降るのかと思ってたなあ。
そうだねえ。
ビーノがオレの隣に横になった。
こんなに晴れるの珍しいかも。いつもはさ、あめ晴れ曇り、あめ晴れ曇り、あめ晴れ曇り、って1日中繰り返すんだけどなあ。虹もしょっちゅう見れるの。
あ!またわたしを除け者にして!
ヨメが無理やりオレとビーノの間に寝そべった。
いくら推しでも私のオトコは取っちゃダメ。
え?そうなの?知らなかったー。
明るく笑うビーノの声は波の音にも消せねえみてえだな。
