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なぜ私は“重みのある場所”に惹かれるのか

静かな場所が好きだ。

そう言うと、少しだけ曖昧になる。
正確には違う。

私は、重みのある場所
に惹かれているのだと思う。

京都に来ると、その感覚がはっきりする。

歴史のある建物。少し古びた空気。
長い時間を通過してきた質感。
新品の空間にはない、妙な安心感。

長楽館のラウンジでぼんやりしている時、
私はふと気づいた。

この心地よさは、静けさだけではない。

空間に漂う密度のようなもの。

現代的な空間は軽い。

悪い意味ではなく、物理的に軽い。

 光が強い、 音が鋭い、情報量が多い、
刺激が絶えない

神経を常に引っ張る設計。

それに対して、歴史をまとった空間は少し違う。

 光が柔らかい、音が丸い、色が落ち着いている
、情報量が抑制されている

どこか刺激が整理されている。

「重み」という言葉は少し便利だ。

実際には重量の話ではない。
古さの話でもない。

あの感覚はむしろ、時間の堆積。

長く存在し続けた場所には、
独特の安定感がある。

急いでいない。騒いでいない。
自己主張してこない。

ただそこに在る。

人間の神経って不思議なもので、
安定したものに触れると静かに緩む。

派手な刺激よりも、落ち着いた密度に安心する。

私は歴史が好きなのかもしれない。

けれど、それも少し違う気がする。

好きなのは多分、神経が疲れない空間。

重みのある場所というのは、
たいてい刺激が暴れていない。

音も光も、空気も。

すべてが少し抑制されている。

豪華だから落ち着くのではない。
高級だから安心するのでもない。

乱れていないから、楽なのだ。

静けさの正体は、無音ではない。
重みの正体は、重量ではない。

どちらも、

神経の話なのだと思う。

重みのある場所に惹かれる理由を考えていると、
京都という街の奇妙な構造にも気づき始める。

過去と現在が、常に同じ空間に存在している。

▶︎ 続き
「タバコ王の館で禁煙という時間の皮肉」


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