「ここのパン屋さん、なんかずるい」
「あっら~、お久し振りですね」
「来ました」
この会話で始まる。
最近なかなか行けてなかった。
閑静な住宅街に、ひっそりと佇む一軒家のパン・カフェ。
家の敷地に入ると、
目にもまぶしいイエローのレモンたちが、
たわわに実っていて、優しく迎えてくれる。
何個あるんやろ、と数える。
見上げると、
青空が逆光になって、キラキラとレモンたちが
見え隠れする。
ここのパン屋さん、女性店主。
優しい目をされているのに、アスリート。
このギャップで、
一段階ギヤーがあがる。
素材や野菜にこだわりを持っている。
パンをひと口食べると、
バターの香りが鼻からぬけ、
余計なものが入っていない感じがする。
しらんけど。
今日はモーニングビュッフェにした。
至福のひと時とは、このことだ。
店主が、暇を見てテーブルに来てくれる。
この会話が、なんかええ。
敷地に咲くレモンの育ちの話。
我が家のレモンが、また今年も実らなかった話。
大会の話。
もうそろそろ、
他のお客に行かないといけないのでは?
と思ったりする。
お腹も満たされ、そろそろ失礼しようかと
ふと、顔を見合わせると、
そんな時に限って、店主が
さりげなく、持ってきてくれる、
メニューには無い、レモン入りヨーグルト。
家で収穫したマイヤーレモンを
はちみつで漬けているらしい。
なんも言わんと、これ出してくれる。
こういうの、弱いわ。
目は、いつものように優しく微笑んでいる。
でも、フルマラソン走るらしい。
見えへんけど。
