#13【設計事務所】「一人でやらない」と決めた瞬間に次のフェーズへ進めるーーオーバーワーク期を抜け出すための、外注という選択肢
かなり久しぶりの投稿だ。以前、設計事務所が陥る経営難についての記事を書いた。
気づけば独立から8年目に入り、今現在自分のいるステージが変わっていることに気づいた。この記事の続編として読んでいただければと思う。
過去記事では、以下のような経営難のフェーズがあることを伝えた。
1【砂漠期】 全く仕事が無くて暇な状態
2【自転車操業期】 それなりに仕事があるけど、収入が足りない
3【オーバーワーク期】仕事を請けすぎて忙しいが、収入が伴っていない
4【資金ショート期】仕事はあるけど、資金繰りがうまくいってない
状況別に、砂漠期、自転車操業期、オーバーワーク期、資金ショート期というようにわかりやすく名前をつけてみた。また前回の記事で一番危ういのは3つ目の「オーバーワーク期」であることを伝えた。目の前にやることがありつつも資金繰りが伴っていない状況は精神的にも体力的にも負荷がかかり、判断力も鈍る。複数案件抱えていると必ずどこかでしわ寄せがくるので気をつけたいところ。
そして、今回はそこについての打開策についての提案。特にオーバーワーク期に突入しないようにするための方法を紹介する。
独立すると、誰もが「一人で全部やる」
最初はどうしても自分で全てをやってしまいがちだ。独立当初は仕方ない。しかし、ある程度流れができた時、そして大きな仕事が入った時にはどうしても周りの手が必要になる。「一人でできることには限界がある」ということを伝えたい。
オーバーワーク期を抜ける唯一の方法
自分の最終的なアウトプットの質を高めるためにも「外注を使って仕事を回す」ことが、オーバーワーク期を抜けるためにも必要な考え方だ。
独立当初は外注にお金を使うのはもったいないと思いがちだが、「自分の時間を作るためのお金」と頭を切り替えることが大切。
その上で、基本的に受ける仕事の何割かは外注費として使うことを前提に進めたい。コンセプトやデザインなどエッセンシャルな部分を自分が担当し、誰がやっても同じような作業は他に回す。そうすることで自分の時間が確保できるため、規模が大きくなっても細かいところにも目が行き届く。そうやって仕事の精度、クオリティを高めていくイメージだ。
外注先はどこで探すのか
今ではランサーズ、クラウドワークス、そして建築設計に特化したアーキタッグというクラウドソーシングプラットフォーム(以下、プラットフォーム)がある。
クラウドワークスは受注者側として、ランサーズは発注者側として利用したことがある(今現在も利用している)。アーキタッグは登録しているがまだ使ったことがない。
まずはそれぞれに一度登録してみることをお勧めする。仕事が欲しい時には仕事をもらい、そして忙しい時に依頼できるようにしておくべき。付き合いのある工務店を複数抱えるように、一人会社だったとしても、「社内体制を整える」という感覚で外注先を開拓していくことをお勧めしておく。
独立から3、4年目の頃から同業者の友人知人に作図を依頼していたことがあるが、だんだん実績を積んでいくと「下請けで図面を描く」という仕事をしなくなる。つまり忙しいことを理由に断られることが増えた。事業が流れに乗り成長するにつれ、条件の良い仕事を受けるようになるのは自然の摂理だ。
というわけで、多少手数料が多少かかるにせよ、このようなプラットフォームを利用して全国から自分に最適なパートナーを探せることには非常に大きなメリットがある。
時間報酬という選択
まだ数少ない事例の一つとして聞いてほしい。
実施設計図の図面を描く仕事を募集した時のことだ。一度募集をかけて何人か応募者がいたのだが、結局プランの変更があってそのスケジュール自体が数週間ずれ込むことになった。そのため募集自体をキャンセルした。
しかし、応募者の中で、「この人、なんかいいかも」という人が現れた。費用も想定内で、仕事も丁寧にやってくれそうだった(ちなみに、他の提案者たちはその人よりも見積金額が1.5倍ぐらい高かった)。
その人にはプラットフォーム上で個別にDMで連絡を取り、今では時間報酬制にして作図の依頼をしている。依頼内容の全体像が流動的である場合は、見積りや契約してのやりとりは作業に取り掛かるまでお互いに負荷がかかる。
依頼内容を整理するだけでもそれなりに時間がかかるものだ。それを小分けにして、相談しながら依頼できるメリットが時間報酬制にはあるということに気づいた。それで喜んでやってくれているのだから、お互いwin-winな関係性を築くことができている。
思わぬ出会いが、経営を変えた
また別の事例。
仕事が無くて大変だった時期に某プラットフォームで仕事を探した。自分の得意分野の仕事の募集があったのでそれに応募した。その企業は継続的な業務委託先を探していて、私の経験や専門特化した分野がそれにピッタリだったようで、何度かの面談の後、採用された(ちなみに応募者は20人ぐらいいたが面談に至ったのは私一人だったらしい)。
ただ、その会社としてはさまざまな業務(複数案件)を私に依頼したかったのと、条件的にもお互いがwin-winになるような関係性を築きたい意向があった。そのため、某プラットフォームの会社を抜きにして直接契約をさせて欲しいと話があった。ただし、直接交渉は契約違反になるため、某プラットフォームを通して話だったのだ。
異例中の異例らしいのだが、某プラットフォームに違約金的な費用(相当な額)を正当に支払い、直接契約を結ぶことができた(陰でコソコソ裏取引をするようなことが嫌いな、義理深い社長だった)。
今では、月々のベース報酬をいただきながら、契約が決まったらプロジェクトフィーとして加算していただけるという、設計事務所としては理想的な条件で仕事をさせていただいている。
この会社との取引ができたおかげで、かなり経営が安定した。特に毎月入る固定収入というのが嬉しい。某プラットフォームでの出会いが自分の会社の経営を変えてくれたと言っても過言ではない。
応募したときはまさかそんなことになるとは思ってもいなかった。どこにどんな出会いが隠されているかなんて誰にもわからないということだ。
プラットフォームは仕事を探す場所ではない
一つは私と外注先との関係、もう一つは私が外注先(業務委託契約)として仕事を受けている話を紹介した。
この2つの事例を見て分かる通り、これらのプラットフォームでは仕事を探したり、仕事を依頼するためではなく、良きパートナーを見つけるための場所であるということだ。
これからも積極的に外注を使い、体制を整えていきたいと思っている。
