Silent Journey 26
Silent Journey – Chapter 26: The Memory of White ( 白の記憶 )

――せめてこの幻想のひと欠片だけは、ここでそっと輝いていてほしい。
目を開けたとき、すべてが白だった。
空も、大地も、遠くの何もかもが
まるで一枚の布のように白く、静かに揺れていた。
Lyreliaはそこに立っていた。
けれど、自分の名前も、どこから来たのかも覚えていなかった。
怖さは、なかった。
ただ、空っぽの安心感だけがあった。
「……わたしは、なにを……探していたの?」
その問いすら、意味をもたないほど
彼女の思考は透きとおっていた。
けれど、胸の奥に、
ほんの微かな“熱”のようなものが残っていた。
それは言葉ではなかった。
でもたしかに「まだ終わっていない」という感覚だけがあった。
「だれか……」
その声に、風も音もない白い世界が、
かすかに揺れたように見えた。
Lyreliaは、自分の手を見つめた。
何も握っていなかった。けれど、
その手は、いつか誰かの手を握ったことがあるような気がした。
「……忘れても、消えないものがある」
白い空間の奥で、
かすかな光が、再び灯りはじめていた。
光がある限り、思い出さなくても、歩いていける。
たとえ名前がなくても、その歩みだけは、Lyreliaだった。
📖 次回: Chapter 27: 呼びかけ ( The Calling )
🚫 ご利用について
この作品と挿絵は、ここだけで静かに輝いていてほしいと願っています。
無断転載や画像の再配布はご遠慮ください。
🚫 Usage Notice
Let this piece of fantasy shimmer quietly, only here.
Please do not repost or redistribute its images and story.
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物語と挿絵が、この静かな旅を続ける灯になります。Lyreliaの歩みをそっと見守ってくださると嬉しいです。