ドラマ『地獄に堕ちるわよ』登場する男たちにメロがりながら、美乃里の登場する意味について考察
おおお、おもしれ~!!!
「細木数子」という人物については、小さい頃よくテレビに出ていたなというぐらいの記憶で、あまり鮮明に覚えているわけではない。
ただ、細木って名前の癖にデブだし(そこ?)、偉そうに喋っていてすごく嫌な感じのおばさんだなーという印象だった。
だからこそ、この年齢になって「細木数子の一生を描いた作品」が作られると聞いて、「あのおばさん占い師にいったいどんな過去が?」というのが気になって視聴。
見始めると、びっくりするほど波乱万丈な1人の女の人生だった。
これはどこまでが本当でどこまでがフィクションなんだ!?とびっくりしながらも、飽きない展開の連続で面白すぎてイッキ見してしまった!
世間では「戸田恵梨香細すぎて似てない」と酷評する声も見られたけど、個人的にはそんな事は全く気にならず、エンタメ作品として最後まで楽しめた。
当時テレビに出ていた細木数子の記憶と印象が薄かったからかもしれない。
そして1番良かったのは音楽!
あのブブゼラのような、何の楽器を使ってるかよく分からないラッパのプァ~↑プァプァプァ↑プァ~↓みたいなテーマソングがことある事に鳴るのが、彼女の奇妙な人生を象徴しているようで不気味で、最高だった。
そしてこの物語では、数子の人生における様々な男性との出会いが書かれている。
幼い頃の貧乏な経験からお金に執着し、騙される側ではなく騙す側、搾取される側ではなく搾取する側であろうとする数子。
だけれども、信じた男性たちに幾度も騙され、裏切られながらもしぶとく人生を生き抜いていく。

ここからは、登場する魅力的な男性たちについて語りながら物語を振り返り、魚澄美乃里の視点で物語が描かれた意味について考察していきます。
数子が愛した男たちについて好き勝手語る
処女ホイホイキャバオーナー・落合
前半パートは、勝気な女性という形で描かれた数子にものすごく感情移入して、思わず同情してしまったり、さらには応援したくなったりする展開が続いた。
高校に通いながらキャバレーで働き始め、高収入の男たちを手玉に取る数子。
お金を手に入れ自由を謳歌している様を表現し、店内で踊りまくる戸田恵梨香は本当に可愛かった。
他の従業員からのいじめを助けてくれたのは店のオーナーで、初めての恋に落ちる。

いや、かっこいいわ。私も好きになりそう。
てかバイトの先輩とかってすごいかっこいいよね。仕事できる姿とか見るとキュンってするよな。しかもオーナーだからさらに背徳感えぐい。
そして銀座デートで洋服を買ってもらい、夢を語り合い、夜を共にした後に、客の発言からオーナーに騙されていたことを知る。
他の女の子たちにも同じことをしていて、 客に体を売らせようとしていた。いじめるように指示したのも彼。
初めてを捧げたのにとんでもねぇクズだった!
あ、あ、あ、あぶね~!!!私も騙されるところだったぜ!
やっぱ先輩という生き物は、恋愛経験が少ない女は少し優しくするだけで惚れやすいというのを知っているから、軽率に好きにさせてくるからな…
そして同じコミュニティの先輩とか上司とかと付き合うとロクなことにならんな…かっこよく見えるのは年上フィルターかかってるだけだからな…
大学のサークルの3男に恋していた、カロリー子の若かりし大学デビュー時期を思い出して胃がキリキリする。
そのあと数子はブチ切れて店を辞め、自殺未遂したり何やかんやあるが、姉と一緒に店を始める。
そしてビジネスに目覚め、自分のキャバレーを持ち、ついには銀座にまで店をオープンする。
一度は死のうとしたものの、男に振られたからといってそのままいつまでもメソメソせず、反骨精神で新しいことを始めるのはとても好感が持てた。
女の幸せは家庭を持つこと、そんなふうに言われがちな世の中は過去になったけれども、ここまでギラギラしている女性って現代でも少ないのではないだろうか。
どちらかというと私は、ハングリー精神を持ってギラギラしているタイプの女をかっこいいなと思う方だ。
だからこそ、家族からどんな風に言われようとも、自分の力でビジネスを始めてどんどん店を大きくしていく数子が純粋に魅力的で、とても応援したかった。
ただ、母のおでん屋の常連客のおじさんがことある事にお金を援助してくれているが、正直これが1番チートじゃね?と思った。
てっきり裏があって、いつかこいつに騙されたり、何なら体を要求してくるのではと思ってたけど、最後まで優しいおじさんとして終わった。
金持ちの本当に優しいおじさん、最強かも。
キモキモ勘違い童貞・三田
次に出会ったのは、数子が経営する銀座のクラブの常連客。
数子に惚れて一人でお店に通いつめ、毎度花束をプレゼントする。
世間知らずの若者かと思いきや、その正体が大地主の息子と分かると、結婚を決める数子。

キモキモ勘違い童貞の可能性を秘めている
分かる、、、、分かるよ!結婚を決めたのは金持ちっていうのもあると思うけど、チャラくて悪い男に騙された後、純朴な男ってかわいいし魅力的だなと思う気持ち、分かるよ!
私もどちらかと言うと陰キャの方が好きだよ!
恋愛に慣れて無さそうだけど、純粋でまっすぐだし、何なら私色に染められるんじゃないの~?とか思っちゃうよね!
ただ今回、結婚後に態度が急変。その純粋な童貞っぽさが良かったのに、味をしめて偉そうに体を求めまくるキモキモ童貞に成り下がってしまった。
さらにはこちらの要求も通らず、義母からも不遇な扱いを受ける毎日。

恋愛において純粋なピュアボーイの存在はいつまでも続くわけではなく、誰しもがやがてプライドの高いキモキモ勘違いセカンド童貞に成り下がる可能性を秘めているということを実感した。
そしてやはり恋愛ではなく結婚となると、家のしきたりや相手の家族との問題も切り離せないから、勢いでするもんじゃねえな!と強く実感した。
その後はお手伝いの噂話を聞いて、ブチ切れて飼ってた鶏を全羽ぶち殺し、親子丼にして家族たちに振る舞う展開は、狂気も感じたけど爽快すぎた。もはやスカッとジャパン。
バスの中で親子丼を1口食べて「まっず」と呟く数子の顔は、すっきりしていて最高だった。
激メロ紳士嘘金持ち・須藤
キモキモ勘違い童貞とのスピード離婚の後は店に戻り、別の男性と出会う。
この男、メロすぎ~!高身長で上品だし、不動産会社の社長で明らかにシゴデキで金持ち。
お金の貸し借りなどを通して感じる真面目で誠実な一面があり、さらには数子のことを「対等な存在」として尊重する。
お互いの過去や境遇が似ていて、夢を語り合った後、「共同出資者」になってくれないかと持ちかける。
いや…持ちかけたのではなく、数子から「言わせた」のだ。今思えばズルい男すぎる。
99%は自分でリードして進めるけれど、最後の1%だけ相手に委ねる。
砂浜でダンスするシーンなんか本当に激メロすぎた。
「その時は僕と一緒にお店を…いや、これ以上は」いや、そんなん普通に告白するよりメロいから。
心の声が漏れちゃってて最高だから。聞いてるだけでニヤニヤせざるを得ないから。
あれ?彼がどんなにクズかを語ってたつもりだったのにいつの間にかメロついてしまってる。何?

しかしその後、なんと数子に借金を全て背負わせて逃亡。
しかも全部が全部、数子を騙すために細かく設定を練り上げた嘘だった。
資産家おじの言う通り詐欺師。そりゃなさすぎだろ。いやあるか。ここまでのどタイプなメロ男、偽りじゃないとおかしいよな…
数子と同じくらいダメージ食らった。
ここからは本当に辛い展開。
借金を背負って家を売却。家族からも全て勘当。
ヤクザの杉本哲太の奴隷となり、自分の意志ではなく言いなりで店の営業を続ける。
いや哲太、おまえ最初は良い奴だったやんけ~!
超ウルトラスーパーグレートパーフェクトイケメン堅物ヤクザ・堀田
そしてその絶望の中に登場するのが、本作品最大のメロ男、全視聴者の恋人、お顔も内面もパーフェクト、数子が本気で愛した男、堀田~!!!!!!!!
本当にかっこいい。
まずヤクザっていう肩書きなのに荒々しく無くて上品。
しかも若いのに親玉だしケンカめっちゃ強い。
チャラチャラしてなくてどちらかというと堅物で、軽々しく愛を囁いたりはしないのに、「オーナーに惚れただけだ」みたいなことサラッと言えちゃう。
表情変わらないのにその発言はズル過ぎるだろ。

あと生田斗真の顔がかっこいい。ガチで(本編とぜんぜん関係ない)
昔はチャラチャラした役が多かったのに、最近真面目な役多くない?好き。
九条の大罪とかも検事の役だし。
もう生田斗真ハイパーメロなのでギルティ炭酸NOPE箱買いする。
あとギャンブルも強すぎて、正直あのシーンは何が行われてるか分からなかったが、杉本哲太をボコボコに倒して、数子を自由の身にしてあげた。優しい。
あと、いつもは堅物な感じなのに2人きりになった瞬間にめっちゃチューしてくるタイプで興奮した(何の話?)

あと、「数子の商売は手伝わない」とか言ってたくせに、ちゃっかり弟分たちに宣伝を手伝うように指示して、素直じゃないところも可愛い。
数子自身も「本気で愛した男性」とか言ってたけど、まじでこれまでの男たちの過去とかどうでも良くなるぐらいもう最高の男。
もはや生田斗真に出会うための布石でしかなかった。
恋愛や結婚において、色んな過去があったとしても、最後に出会う男が最高ならそれで良くないか?
…と思ったけど、別に最後の男ではなかったな!その後も数子はガンガン恋愛とか結婚とか男遊びしてたわ!
その後も男を利用していく数子
これまでの数子は、どちらかというと応援したく
なるようなキャラクターだったが、正直この後からは全く行動が理解できない。
島倉千代子の借金を肩代わりしただけに留まらず、縛り付けて奴隷のように働かせる。
認知症間際の安永先生を騙して結婚し、業界での自身の売名に利用する。
数子本人からの口ではなく、弟や安永の娘から語られるストーリーだったからこそなのかもしれないが、あまりにもその行動に共感出来なさすぎた。
だからこそ、これまでは数子の視点で数子を応援していたにもかかわらず、いつからか周囲の人物の方に感情移入してしまっていた。
特に島倉千代子が数子に楯突いた後、数子が大切にしていた「愛」である堀田を寝とる展開は、NTRキタ~!!!!と思わずテンションが上がってしまった。
もはや逆スカッとジャパン。
堀田の背中越しに見える、千代子のざまあみろとも言わんばかりの目が、ギラギラと光って美しかった。

これまでの数子は、自分のビジネスを軌道に乗せることや、自分らしい生き方を追求するなどのプラスの感情で行動していたように思える。
もちろん目的のためには手段を選ばないところはずっと共通しているが、千代子のエピソードも安永先生のエピソードも、明らかに周囲の人間を騙し、陥れ、不幸にしている。
その後も占いのビジネスで大成し、私たちのテレビで見る「細木数子」となり、テレビから姿を消した今でも怪しい墓石ビジネスで金を設けている。
そこまでする必要は果たしてあったのか?
和子自身も、エスカレートしていく自分の欲望に歯止めが利かず、もう止まることができなくなってしまったのではないかと思う。
魚澄美乃里の視点で描かれる必要性
この物語は数子の人生のドキュメンタリーだけれども、数子だけにフォーカスするのではなく、彼女の本を出版することになった、小説家の魚澄美乃里(伊藤沙莉)の視点で描かれる。

まず、第三者の視点が入ることで視聴者も共感しやすく、飽きずに見ることができたのではないかと思う。
ただこの二重構造の物語には、それだけではない色んな効果があるように感じた。
人が持つ「多面性」を描く
物語後半パートで、数子が語ったエピソードと、周囲の人間が語ったエピソード。
真実はどちらだったのだろうか?数子は嘘をついていたのか?
ジョハリの窓という言葉がある。
そもそも、自分が思う自分と、他人から見えている自分というのは違うものだ。
数子本人が語る自分自身と、弟や身近な人物の語る数子、色々な人の話を聞いたうえで美乃里が小説で表現する数子、さらにはこの番組を通して描かれる細木数子は、同じ人物であっても捉え方によって全て違うふうに見えている。
それぞれが語るエピソードには多少の脚色や誇張も含まれていたかもしれないし、まったくの嘘をついていた可能性もあるが、「いったい何が真実か」を語ることは野暮で、きっとそれはその人が感じた、その人なりの真実なのだと私は思う。
私が感情移入しまくった、数子本人の口から話された物語の前半部分も、もしかしたら数子自身によって脚色されていた可能性だってある。
怪しい(と思われるように作中で描かれている)墓石ビジネスも、それが結果として救いになって彼女に感謝する人もいるだろう。
そんな風に、誰しもが色んな顔を持っているし、受け取り方や感じ方は人それぞれ。
複数の人物から語られる数子のエピソードを入れることで、人の持つ「多面性」の複雑さと恐ろしさも描いているストーリーであると感じた。
美乃里と数子の共通点
美乃里は売れない小説家。収入は少ないが娘を大切に思うシングルマザーであり、元夫への不満を抱える女性だ。
だからこそ、男に依存せずに自分の力でのし上がっていく数子に興味が湧くし、結婚後に義実家を飛び出す親子丼エピソードには「いい気味ですね」と発言もしている。
数子に連れられホストクラブに行った時は、母としての自分を忘れ羽目を外す様子も見られた。
取材対象として数子を理解したいというだけでなく、人間として、1人の女性としての憧れや興味があったのかもしれない。
だからこそ、彼女がどういう人物なのか真実を知りたくなった。
本人の口から語られる言葉だけでなく、数子の周囲にいた人物からも話を聞き始める。
最終的には、細木数子という人物を解釈し、嘘や忖度を切り捨て、己の力で小説を書き上げることが、自分自身を理解することにも繋がったのではないかと考える。

小説を読んだ数子は「面白かった」と答えるが、嘘が書かれているとして、作品の書き直しを命じる。
だが美乃里は「小説は自分にとって自分が存在する意義であり、生きる意味」だと拒否する。
細木数子の小説を書くという行為を通して、自分自身を理解することにも繋がった。
元夫に否定された夢。もっと安定した仕事につけば幼い娘に楽をさせてあげられるかもしれない。
それでも自分自身にとって小説は生きる意味だからこそ、世に出せなかったとしても、嘘をつかずに自分の書きたいものを書くことに意味があるのだという結論に辿り着いたのだ。
数子を見て、自分自身の行動原理や生きる意味について辿り着いた美乃里。
それでは美乃里と出会い、数子はいったい何を感じたのか?
この対比を描きたかったからこそ、美乃里を登場させたのだと思う。
ティアラはどこにいったのか
欲しいものは全て手に入れたと思われる数子は、実乃里と出会い、彼女の書いた小説を読むことで
、きっと自分の人生を振り返ることになっただろう。
実乃里の生きる意味は「小説を書くこと」だった。
じゃあ、私の生きる意味は?
幼い頃の経験から、お金に困らない生活を送りたかった。
騙される悔しさから、自分でビジネスを始めたかった。
自分が頑張ったぶんだけ成功していくのが楽しかった。
利用される側ではなく、利用する側になりたかった。
もちろん、これが真実かどうかは分からないが、
才能のある若い歌手を縛り付けお金を巻きとっていたのは?
自分が業界人として認められるために、顔の利く人物を騙して結婚したのは?
怪しいビジネスを通して大金を巻き上げることは?
人を不幸にしてまで、何のために財産を手に入れていたのか?
自分の行動原理や生きる意味は何?
美乃里にとっての小説は、私にとっていったい何だったのか?
ティアラが居なくなったのは、何も本当に行方不明になったとか、死んでしまったとかではなく、数子が「孤独」であることを示していたのではないかと思う。
たった一人になった広い家の中で、ガラスに映っているのは幼い頃の自分。
騙し、騙されることを知ったあの時。
幼い自分に「あんた、地獄に堕ちるわよ」と言われたことに対して、「地獄なんて散々見てきた。ちっとも怖くない」と言い放ち、高らかな笑い声が響く。
このシーンで、数子は自分の人生を振り返り、周囲の人間から愛されなかった孤独を感じるとともに、周りを傷つけてきたことに対して後悔とまでは行かなくても、ぽっかりと心に空いた虚しさを感じたのではないかと思う。
だけれども、一瞬の迷いを感じていたとしても、これまで通りの賢さと逞しさで、まったく後悔などしていない、間違えてはいないのだと、自分に言い聞かせながらもこれまで通りの人生を歩むことを決意する。
そんな数子の強さと恐ろしさを描いたラストだなと感じました。

とりあえず否定的な意見はあるけれど、戸田恵梨香の演じる細木数子は、かっこよくて可愛くて、強くて美しかったな~
個人的には、とっても面白かったです!!

