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UTMBと複雑な関係になってみた

前回のお話はこちら:

アイアンマン資本のマーケティングに取り込まれるのがイヤだ!と言いながら、完走体験が楽しすぎて、「ほかにどんな20Kイベントがあるんだろう」と、UTMBワールドシリーズのマップを見てしまったおばさんです。

そして見つけてしまったさ、広島のUTMB 20Kレース。

広島の湾岸トレイルレースは、2027年からBy UTMBの世界イベントになるそうです。20Kクラスのコースは、紹介文を見ると、かなりビギナー向けになっています。観光気分でゆっくり走る25km、制限時間は6時間。

わたし向けの設計すぎて、アイアンマンのマーケティング担当が書いた「トレラン初級おばさんを陥落するためのカスタマージャーニーマップ」が目に見えるようだ!

実はわたし、地元でお達者クラブ(会員4名)を主宰しております。設立趣旨は「ガチで走らない・走るのを引退したおばさんたちの、ノルディックウォーク+弁当+地元観光で楽しく健康に歳をとる会」というもの。

しかしこの会のメンバーは、「トライアスロンの一番短いのやってみたいかも…」「UTMBの一番短いのやってみたいかも…」と、なかなか「ウォーキング&弁当&観光」に落ち着けないおばさんたちだったのでした。

お達者的に広島の20Kイベントが魅力的すぎて、里帰り帰国のついでに行っちゃう??と思う自分と、「待て、これはウィスラーのようにUTMB帝国が日本の草の根レースを乗っ取った案件ではないのか?」と懸念する自分が葛藤。

調べてみたところ、広島のUTMB化には、ウィスラーとは対照的な背景があったとわかりました。広島では、市民が作り上げてきたトレイルを世界に知って欲しい、地域と観光の振興に繋げたい、という思いがあったようです。ヒロシマの名は世界的にも知名度が高く、インバウンドにも魅力的なコンテンツとなるでしょうね。

ウィスラーでは、グローバルブランドがくることでローカルが大切なものを失い、広島ではローカル側がグローバルブランドを利用して、自分たちの場所を世界へ開こうとしている、と。

もちろん、広島のUTMB化については、批判や懸念がゼロではないようです。また、旧広島湾岸トレイルランを企画していた団体が、「新しいレースに反対はしないけど自分らとは無関係」という趣旨の声明を出していたりして、なんか複雑な思いもあるんだろうな、と想像します。

複雑な思いといえば、キリアン・ジョルネが2026年のUTMBに戻ってくるというニュースにも、ボイコットどうなった?と複雑な思いを覚えた人も多かったのでは。(キリアン、膝の故障で実際には不参加)

ボイコット騒動の後、キリアンとUTMBは対話を再開しているようです。環境負荷、ローカルレースとの調和などについて、お互いに話を聞いている模様。対立を超えて、再び競技の最高峰に臨みたいキリアンにも、いろいろ複雑な思いはありそうです。

そしておばさんはハタと気づいたのです。トレランは「複雑な思い」を抱きながら楽しませていただくべきものであると。

アイアンマン資本は悪なのかといえば、私のような普通のおばさんに「自分のペースで無理なく上を目指せるアスリート体験」という価値を提供しているし、その点だけみれば実にまっとうなビジネスです。トレランという競技の裾野を広げる役割も果たしているでしょう。

しかし裾野を広げるということは、山がより多くの人間に踏まれれるということであり、そこは企業として環境保全に貢献するべきところ。そもそも山が壊れちゃったら山ビジネスはできなくなるわけで、持続可能性とのバランスを追求せねばなりません。

ケベックのUTMBイベントでは、参加者全員に「使用済みトイレットペーパー持ち帰り袋」が配られていました。まずは、山からケツをふいた紙をなくす。CSR(企業の社会的責任)の試みとしてたいへんよろしい。商業主義に負けた!!と思いながら購入した記念フーディは、トイペ持ち帰り袋基金への寄付に対する返礼品だと思うことにします。

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