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応募します|フラットビーン

フラットビーン──果実の内部で育つ双子


雨季の光を吸い上げた枝先で
コーヒーノキの果実は赤く熟す
外果皮エクソカープは張りつめ
その下の果肉メソカープ
蜜のように甘く湿っている

その中心
内果皮パーチメントに包まれたふたつの種子が
背中合わせに収まっている
平らな面は
長い時間をかけて互いを押し合った証

押せば凹み
引けば寄り添い
互いの境界をならしながら
陰陽の円環を描こうとする

胚乳はまだ白く
水分をたっぷり含み
ゆっくりと硬さを増していく
外界の風も知らないまま
果実の湿度と温度だけを頼りに
成熟のリズムを刻む

やがて収穫され
乾燥され
果肉メソカープ内果皮パーチメントも剥がされ
ふたつが別々に転がり出ても
平らな面には
果実内部の圧力と
ふたつが寄り添った時間が
静かに残っている

その記憶が
焙煎でキャラメルの香りに変わり
挽かれて微細な粉の粒度に変わり
抽出されるとき
甘味・酸味・苦味のバランスとして
カップに立ち昇る

フラットビーンとは
植物の内部で育まれた
双子の呼吸の化石
一杯のコーヒーに
その微かな鼓動が溶けている



#なんのはなしです珈


コーヒー豆のことを全然知らなかったので、この詩をつくるために調べました。

コーヒーの設計図……果実の記憶……
調べてみたら、コーヒーが愛おしく感じられました。

なんはなルーム灰原さんの企画に参加します。

灰原さん、よろしくお願いします。



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