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【映画感想】「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」| 難しいことを考えすぎちゃう

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スウェーデン発、世界的ベストセラーとなった推理小説を映画化。

40年前に起きた少女の失踪事件の真相を追う雑誌記者と、彼の身辺調査を依頼された凄腕ハッカーの女性がコンビを組み、巨大な一族に隠された秘密を暴いていきます。

2011年にはハリウッドでも映画化されました。


あらすじ

大物実業家の不正を、自身が編集する雑誌「ミレニアム」で暴いたジャーナリストのミカエル。

ところが、相手の罠にかかってガセ情報を記事にしてしまい、名誉毀損で訴えられて有罪判決を受けてしまいます。

刑務所に入るまでには、まだ半年ほど。

しばらく仕事を離れることになったミカエルは、クリスマス休暇を妹一家のもとで過ごしていました。

そんな彼のもとに、一本の電話が入ります。

相手は、複数の大企業を有するヴァンゲル・グループの元会長、ヘンリックの代理人であるフルーデ弁護士。

ヘンリックがミカエルに頼みたいことがあるというのです。

ミカエルは彼の住む孤島へ向かいます。

本土とは橋一本でしかつながっていない島。

そこでミカエルは、幼い頃に父親に連れられてこの場所を訪れたことを思い出します。

ヘンリックから依頼されたのは、40年前に失踪した姪、ハリエットの行方を調べることでした。

ヘンリックは、ハリエットはすでに何者かに殺されたと考えています。

ところが最近、生前のハリエットが作ってくれたものと同じ押し花が、彼のもとに郵送されてきたのです。

犯人がハリエットの生存を偽装するために送りつけているのではないか。

そう考えたヘンリックは、40年間自分でも調べ続けてきた資料をすべてミカエルに渡し、事件の真相を突き止めてほしいと依頼します。

ミカエルは島内の小屋を借り、ヘンリックから聞いたヴァンゲル一族の相関関係や大量の写真を壁に貼り付け、事件を一から調べ始めます。

一方、フルーデ弁護士は今回の依頼に先立ち、ミカエルの身辺調査をセキュリティ会社に依頼していました。

その調査を担当したのが、在宅サイバー調査員のリスベット。

凄腕のハッカーである彼女は、依頼が終わった後もなぜかミカエルに興味を持ち、個人的に調査を続けていました。

やがてミカエルは、ハリエットの日記に残されていた5つのイニシャルと電話番号らしき数字を発見します。

何かの手がかりではないかとパソコンに入力するミカエル。

その様子をハッキングによって監視していたリスベットは、彼がハリエットの事件を追っていることをすでに把握していました。

そして、その数字が何を意味するのかに気づきます。

居ても立ってもいられなくなったリスベットは、ミカエルにメールを送ります。

こうして、まったく異なるタイプの二人が、40年前の少女失踪事件を追うことになります。


感想

原題は、実は「女を憎む男たち」。

そのタイトルが示す通り、女性蔑視や女性への暴力が作品全体を貫く大きなテーマになっています。

そのテーマを象徴する存在が、もう一人の主人公ともいえるリスベットです。

幼い頃に父親に火をつけたことが原因なのか、成年になり経済的にも自立している現在も「精神的に問題がある」と判断され、後見人をつけられています。

以前の後見人が脳卒中で倒れたため、新たに担当になったのがビュルマン弁護士。

ところが、この男がとんでもないクズ。

リスベットの経済的自由を奪ったうえ、性暴力によって彼女を支配します。

反抗すれば、虚偽の報告書を後見委員会に提出して施設送りにする。

そんな脅しによって、リスベットは理不尽な支配を受け入れざるを得なくなります。

しかし、彼女には圧倒的なITスキルがありました。

自分の持つ知識と技術を駆使して、その状況から抜け出していきます。

……苛烈な性暴力と引き換えになりましたが。

リスベット、めちゃくちゃ強い。

短髪に革ジャン、ジーンズ。

鼻ピアスを開け、バイクを乗り回し、背中には大きなドラゴンのタトゥー。

複数の男たちを相手にしても、暴力には暴力で立ち向かう。

「女性らしさ」や「一般的な女性像」から、あえて距離を取っているようにも見えます。

なんだか、彼女自身が、自分の中の「女性性」を嫌っているようにも感じられました。

もちろん、これは私の個人的な解釈です。

過去の経験から男性そのものに強い不信感を抱くようになったのかもしれないし、女性として扱われることそのものを拒絶するようになったのかもしれません。

人がミソジニーやミサンドリーに至る背景には、さまざまな要因があると思います。

トラウマ的な経験の積み重ねから、「異性という存在そのもの」に強い嫌悪や不信感を抱くようになることもあるでしょう。

こうしたジェンダー問題を真っ向から真剣に考えようとするとき、
「なるべく感情的にならず中立性を持って」
を念頭に置くのですが、思考が上手くまとまらず、どうにも苦戦します。

解決法が思いつかなくても、どこかに落としどころはないか、ずっと考え続けることになりそうです。

そして、この作品でもうひとつ印象に残ったのが、ハッキングによって個人情報が丸裸にされる怖さです。

天才ハッカーのリスベットにかかれば、ミカエルの個人情報なんてあっという間。

住所、家族構成、過去の経歴、現在の状況、銀行の預金残高、クレジットカードの使用履歴……。

ネット上から洗いざらい情報を集めてプリントアウトし、フルーデ弁護士に渡してしまいます。

物語としては、ハッキングによって隠された真実が次々と暴かれていく展開がものすごく面白い。

でも、よく考えると……

これ、誰でもやられる可能性があるんだよね?

そう思うと、途端に怖くなります(;´・ω・)

実際、私はネットリテラシーがかなり低くて、以前は架空請求詐欺のメールに反応してしまったこともあります。

クレジットカードをネット上で第三者に勝手に使われていたこともありました。

そうした経験があったので、ライターの仕事を始める前には、

「ネットを利用する以上、慎重にやらなきゃ」

と思っていました。

ところが、慣れてくると怖いもので、最近は少しずつ脇が甘くなっている気がします。

ネットに上げたものは半永久的に残る。

ちょっとした情報から身元を特定され、思わぬトラブルに巻き込まれることもある。

この映画を観て、そんな当たり前のことを改めて思い出しました。

もちろん、利用しているサービスの会社側で情報漏洩が起きるなど、自分ではどうにもできないケースもあります。

それでも、自分で防げるところは防ぐ。

もう一度ネットリテラシーについて学び直して、できるだけトラブルを未然に防ぐことを意識しようと思いました。

さて、肝心のミステリーとしても非常に面白い作品です。

富豪一族のドロドロした人間関係。

40年前に起きた少女の失踪事件。

その一族の中に潜む容疑者たち。

一見すると、古典的な王道ミステリーのような雰囲気があります。

ところが、そこにインターネットやハッキングといった現代的な要素が入り込んでくる。

昔ながらのフーダニットと、ハイテク捜査の融合が絶妙です。

そして、バイオレンス描写はかなり過激。

正直、目を背けたくなる場面もあります。

ただ、その痛々しさから逃げずに描いているからこそ、登場人物たちが受けた苦痛がこちらにも伝わってくる。

それが人物設定や物語の重みにもつながっていて、かなり見ごたえのある作品でした。

ミカエルとリスベット。

一見すると、まったくタイプの違う二人。

でも、それぞれの方法で真実に近づいていく姿が面白い。

ミステリーとしても、人間ドラマとしても楽しめる一本です。


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