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「北山杉ハープの故郷」ささやきのハープ第116回

 ささやきのハープ、第116回です。
 今月8月9日に、新しいCDアルバム『故郷 ―北山杉ハープで奏でる日本の調べ』をリリースしました。著作権等の関係で、CD版には20曲、ダウンロード版には19曲、ストリーミング版には15曲を収録しています。CDはオンラインショップ「シナモン」からお求めいただけます。

 今日は、このアルバムで使用している「北山杉ハープ」という楽器についてお話ししたいと思います。私のInstagramやFacebookをご覧になっている方は、すでにご存じかもしれませんが、今年の6月に、北山杉で作った20弦の金属弦ハープを完成させました。
 北山杉というのは、京都市北部で作られている伝統的な木材で、一般的には600年前の室町時代から続く伝統産業とされています。桂離宮、大徳寺、金閣寺などの有名な建築物の床の間には、北山杉の磨き丸太が使われてきました。また、その美しい杉林は、川端康成の『古都』にも描かれています。北山杉は中川という地域が昔から有名なのですが、それよりも少し北にある周山、京北でも、手間暇をかけて丁寧に育てられています。
 かつてこの地に存在した周山城は、明智光秀の居城として知られ、この地域に善政をしいたと伝えられています。
 さて、この周山近くの、のどかで美しい里山に、私の妻の両親が静かに暮らしています。二人とも画家で、もともとは市街地の薬師山というところに住んでいました。そこで美術研究所を主宰していましたが、現在は周山に移住して、田舎暮らしをしています。二人とも絵を描きながら、義母は畑や花を育て、義父は一人で美しい石垣を組み上げて、まるでお城のような状態になっています。
 今回のCDのレーベル面には、その石垣の前で撮影した北山杉ハープの写真を使用しています。私のInstagramでも時々紹介していますが、その光景は圧巻ですので、ぜひオープンガーデンの季節に見に来ていただきたいと思います。
 周山の家に遊びに行くたびに、一帯に広がる美しい杉山を見て、いつかここの木を使ってハープを作ってみたいと、長年考えてきました。
 それから12年。
 ようやく、その願いが叶いました。中川の業者さんとのご縁があり、ハープ制作に使える木材を用意していただくことができたのです。今まで作ってきたハープの中では372台目になりますが、北山杉ハープとしては記念すべき一台となる、20弦の金属弦ハープが完成しました。杢目の美しさを残すために、色のついた塗装は行わず、木そのものの自然な風合いを残しています。また、共鳴胴を通常より長くとり、低音がよりよく響く構造にしました。
 先月、出来上がったばかりの北山杉ハープを、この木の生まれ故郷である周山に連れて行きました。義父が建てたガゼボで、おもむろに「故郷」を奏でてみたところ、虫の声や風に揺れる木々の音が、まるで伴奏のように響きました。それが思いのほかこのハープに合っている気がして、「この北山杉ハープで、日本の曲を録音してみよう」と思ったのです。

 ただ単純に日本の旋律を奏でるのではなく、これまで私が長年研究してきた金属弦ハープにふさわしい語法で、アイルランドの伝統音楽で用いてきたアプローチも踏まえながら、日本の曲をあらためて解釈してみました。そのあたりについては、このポッドキャストでこれから詳しくお話ししていこうと思います。
 さて、本日はCD『故郷』から、この作品を作るきっかけとなった「ふるさと」をお聞きください。


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