消えるとき
私は寝るのが好きだ。
寝る瞬間の、意識がシャットダウンされる感じに、安らぎを覚える。
私は死んだことがないから分からないけど、それは死ぬことに似ているのかもしれないと思う。
当たり前だが、寝ている間は何も考えなくていい。
何も気にしなくていい。
死んでいていい。
それは私にとって救済であった。
私がいない間、世界は完璧に近づく。
という考えに囚われている。
私は寝るのが大好きだが、寝るのが下手だ。
眠れない。夜中に目が覚める。悪夢を見る。朝はぐずぐずだ。
それでも、一番好きな落ちる瞬間は毎晩ある。
いつの間にか寝るというのもいいが、「あ、落ちるな」と自覚しながら寝るほうが好きだ。
私の寝方はまさにシャットダウンで、かなりはっきりその瞬間が分かる。
身体と意識を両方手放す瞬間が、たまらなく好きだ。
目を閉じたよりももっと暗くなる、瞬間だ。
私という人間が、私の中から消える気がする。
そのとき世界は少し良くなる。
