音の器 【140字の掌編】
私は立ち止まって耳を澄ました。
珍しく熱帯夜の、
駅前通りとサブロク線が交わる交差点。
ススキノの奥へ流れる人々の喧噪の中で、
確かに聞こえたのだ。
ポロロン、
ティロン
と響くオルゴールの音が。
祖母はいつもネジを巻いて、
木の器から零れる音を私に聞かせてくれた。
そうだった。
今日は祖母の、命日。

私は立ち止まって耳を澄ました。
珍しく熱帯夜の、
駅前通りとサブロク線が交わる交差点。
ススキノの奥へ流れる人々の喧噪の中で、
確かに聞こえたのだ。
ポロロン、
ティロン
と響くオルゴールの音が。
祖母はいつもネジを巻いて、
木の器から零れる音を私に聞かせてくれた。
そうだった。
今日は祖母の、命日。
