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こうはくきょうだい

今日はわたしのお楽しみデイ。何をしようかな?よし、公園でハンバーガーを食べよう!

……お手軽な人である……。

素敵なnoterさんの記事を読んで、久しぶりに食べたくなった。日常のささやかな光景にその時々の思いをのせたその方のnoteは、わたしの心にもすうっと届く。

さてテイクアウトして自転車を漕ぎ、人目につかない公園へ。見上げればやわらかい青空に、若葉をまとった背のたかーいメタセコイア。ベンチの上の藤棚の藤も、もうつぼみをつけている。

ハンバーガーにかぶりつき、ホットコーヒーをひとくち。フライドポテトをつまんで、ふにゃふにゃの食感と塩味をゆっくり楽しむ。

手を拭いて、おもむろに本をひらいた。赤いカバーが斬新なレイアウトの、『これはいつかのあなたとわたし』。

燃え殻さんのエッセイはまじめなのに語り口がおもしろすぎて、油断していると「たはっ」と笑ってしまいそうになる(決してプッとかガハハとかとかではない)ので、電車の中では読まないように気をつけている。公園ならば、思うぞんぶん笑っても……あら?

となりのベンチに、幼い男の子と女の子を連れた年配の女性が腰かけた。こどもたちは、ああ懐かしい、またがって自分の足で蹴って進む乗りものに乗っている。

男の子のは白い車、女の子のはトーマス。トーマスの方が格上のようで、

「にいににも貸してあげなさいよ〜」

ベンチに座った「ばあば」が声をかける。

トレーナーも赤、ズボンも赤という、わたしが今まさに読んでいる本から出てきましたか?のファッションのお兄ちゃんと、真っ白いトレーナーの妹ちゃん。

乗用玩具を乗り捨ててすべり台へ。先にすべりおりた兄がトーマスに乗ろうとするのを妹が大声で制して、

「これはあたしの!」

とばかりにまたがった。

ケンカ勃発か…?という予測ははずれ、男の子は白い車でごろごろごろ。そしてキックに疲れた妹が、

「押してぇ〜」
と頼むと、素直に白い車を降りて妹のトーマスを後ろから押してあげるではないか…!

「優しいお兄ちゃんですねぇ…!」
わたしは思わずとなりのベンチに腰かけた女性に話しかけた。

「年子だからね」
と、ばあばはのたまうが、いや年子ならなおさら、ライバルなのでは?と言いたくなる。

けれどそんなわたしの目の前を、ふたりはごろごろとトーマスで仲よく過ぎていくのだ。

聞けば兄は来月4歳、妹は7月に3歳。そんな子が足蹴り車(正式名称がわからない)で爆走していたら、わたしだったら転ばないかとオロオロ後をついて歩いてしまいそうだが、

「押してもらいたかったら、お願いしますって言うんだよ〜」

ばあばはゆったりとベンチに座ったまま。おおらかな声かけになんとも包容力があって、赤い上下の男の子には確実にこの人の血が流れていると思わせる。

「おねがいしましゅ」
2歳の妹がたのむたびに3歳の兄は自分の車から降りてトーマスを押す。しまいには、

「今度はにいにを押してあげたら?」
のひと声で、妹がいっしょうけんめい押してあげるという奇跡の場面も…。

そしてわたしがさらに驚いたことには、かれらはここから車で1時間以上かかるところから遊びに来たのだそうで、

「いつもこの公園で遊んでくれる小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんたちに、お礼をしようと思ってね…」

女性は自分で編んだというオバQ(のように、わたしには見えてしまう)キーケースを見せてくれた。

「たくさん持ってきたから、よかったらおひとつどうぞ」

やがて彼らはとなりの公園へその小学生たちを探しに行くこととなり、妹のトーマスを兄が運んであげるというこれまた美しい光景をわたしの前でくりひろげながら去って行った。

ばいばーい、と白い服の妹ちゃんに手を振りながら、わたしはそれを見送った。

風はそよそよ。膝の上には赤い表紙の本。白いページは開かれたまま……

わたしは夢でも見ていたのだろうか?

けれどもわたしのてのひらにはしっかりと、オバQ(誰か教えてください…)キーケースが載っている。


本の紹介を書くつもりが、こんなに長くなってしまったのでまたの機会に…。




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