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📚 114【今世紀最大の理不尽】公平で平等で対等な結婚 1598


※ヘッダー画像は表紙部分です

今世紀最大の理不尽
それでも、結婚がしたかった

鳥飼茜(1981年大阪府出身、漫画家、京都市立芸術大学卒、2004年「別冊少女フレンドDX Juliet」でデビュー)

文藝春秋 238頁
2026.2.10初版

未婚の人、離婚した人、これから結婚する人—
パートナーとの関係が気になるすべての人へ

結婚。それは祝祭か、墓場か。

制度や社会だけではない、個人もまた、結婚を前に歪んでいるのだーー金原ひとみ

結婚が、苗字変更が、私たちからものすごく大切なものを奪う、その切実さをこんなに鮮やかに面白く描いた凄みのある文章はかつてあっただろう
か?!いやない!一一鈴木涼美



著者は二度の結婚(改姓=夫と同姓)と離婚を経験し、三度目の結婚をした。
三度目の夫とも同姓。
同姓は同姓でもちょっと(かなり?)驚きの選択
それは……

著者の結婚•離婚•改姓について整理する。

著者の旧姓は、ほとんどの人が目にしたことがない難読漢字。
最初の結婚で夫(以下夫①)姓に変更。
子連れ離婚したが、上記の理由と改姓の煩わしさから旧姓に戻さず、姓は夫①姓のまま。

次の結婚では、夫①姓から2番目夫(以下夫②)姓に変更。
子どもは夫①(父)姓のまま。
著者は週末のみ夫②と過ごす週末婚、子どもは夫①と暮らす。
二度目の離婚時には、夫②の目の前で夫①姓に変更するのが憚られ、夫②姓のままに。

相性が悪かった夫②姓で呼ばれることに違和感を覚えた著者は、夫①姓(子どもと同じ姓)への変更を思い立つ。
区役所に方法を訊いたのは離婚翌年。
離婚時か離婚後3ヶ月以内なら、前姓かそのままの姓かを選べるが、それ以降は家庭裁判所に申し立て、裁判官による審理を受ける必要がある。
数ヶ月後、夫①姓への変更が許可。

著者は許可証明書を2年間放置。
なぜって国民健康保険、年金、運転免許証、パスポート、銀行口座、クレジットカード、各種団体保険、自宅の登記等々の変更が面倒だから。
改姓経験のある人(94.1%が女性‼︎)なら解る。
1箇所で済まないし、1日2日では終わらない。

著書に三度目の結婚話が持ち上がる。
新パートナー(以下夫③)とは、選択的夫婦別姓が実現するまで事実婚することに。
夫②姓でいたくないから夫①姓に変えねば。
戸籍課に裁判所の許可証明書に出したところ、職員の言葉に絶句。
今日からって‼︎

「大変申し上げにくいのですが
今日から法律が変わりまして
この書類は受け付けられません……」

p033

(前略)戸籍にふりがなの記載が義務付けられました。この書類は、その前に作られたものなので、ふりがなについての記載が無いんです。だから、この書類だと氏名変更は出来ないんです。
(中略)家庭裁判所にもう一度氏の変更の申し立てをしてもらって、今度は新しくふりがなの記載のある許可書を持ってきていただくことに、なってしまうと思います……(後略)

p034




改めて家庭裁判所に手続きに行った日、著者は小説家金原ひとみさんからのLINEに気持ちが動く。
金原ひとみさんの二番目の夫は、金原さんの姓を選んでいる。

「彼氏さん(夫③)も鳥飼さん(著者)の前の前の旦那さん(夫①)の苗字になるっていうのはダメなの?」

p047  ( )内は筆者


夫①とは離婚後15年。
負の印象も正の印象もなく、子ども(現在は父と同居)の父親として長生きしてほしい存在。
ロマンチックもメランコリーも感じない。
夫③さえ理解してくれたら、案外アリなんじゃないか。

家裁からの許可を得、著書は夫①姓に変更し、夫③と法律婚し、夫③が夫①姓に変更するとすれば、改姓による名義変更手続きの負担は各々。
これぞ平等。

自分達が新しく作る戸籍の傘に、自分達より先住の人間がいないのだ。どちらの家族に新規参入願うわけでもない。(中略)前々夫は、このあたらしい戸籍を構成するメンバーではない(後略)

p053

 どっちかがどっちかの家(てか大抵女が男の家)にお邪魔させてもらい、先輩家族たちに気に入られるよう上手く我慢などして、(大抵は男の)家を繁栄させるように子をたくさん産んで、国の福祉の力には最大限頼らず済むように老いた親世代の世話などし、そうやってまた家を繋げて行ってね〜、という結婚——

 とはちがって、誰の役にも立たない、法律側からしたら当てはずれ中の当てはずれ婚、になりそうな気配に、勝利を感じて打ち震えていたのだった。

p054



金原ひとみさんのニュートラルなアドバイスに痺れる。
一度は「さすがに変だと思う……」と答えたものの考え直した著書も、「二人でよく考えるといいよ……」と言ってくれた夫③の母も、(本書にはないが)「空っぽの屋号に2人で入るってどうかな?」と言ったら「それ面白いからやろう」と快諾(https://gendai.media/articles/-/165463?page=2より)した夫③も、オモロイ。

著者は夫③と三度目の結婚。
「上野千鶴子先生には、『懲りない人ね』と言われました」と言うのだから笑える。
夫婦とも夫①姓を名乗っている。

本書では、結婚により婚家から女性が望まれること、それでも著者が結婚したい理由、旧態依然として変わらない結婚制度、百年前から続く男女の不平等についても書かれている。
著者改姓のエピソードしかご紹介できなかったけれど、一読する価値はありすぎる。

                2026.8.19.水

補足記事です








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