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宅建マイスターは、ここを見ています。#79 私は、「最後まで確認します。」

私は、「最後まで確認します。」

内見が終わりました。

お客様も一通り物件をご覧になって、玄関へ向かいます。

でも私は、そのまま、

「では、帰りましょう。」

とはなりません。

最後に、もう一度確認します。

内見のとき、私は携帯用のスリッパを持っていくことがあります。

お客様に履いていただき、内見が終われば最後に回収します。

雨の日なら、できるだけ室内を濡らさないようにしていただく。

考えてみれば、当たり前のことです。

その物件は、私のものでも、お客様のものでもありません。

所有者からお預かりして、案内させていただいている物件です。

だから、見終わったからといって、そのまま帰るわけにはいきません。

内見では、いろいろなものを動かします。

窓を開ける。

収納を開ける。

扉を開ける。

照明を点ける。

場合によっては、ブレーカーも確認する。

このシリーズでも以前、

「私は、『全部開けます。』」

なんて書きました。

だったら最後は、ちゃんと戻さなければいけません。(笑)

照明は消したか。

窓は閉まっているか。

戸締まりはできているか。

そして、ブレーカーは元の状態になっているか。

一つずつ確認して、最後に玄関を出ます。

空き家の場合、私たちが帰ったあと、すぐに誰かが来るとは限りません。

照明を点けたまま帰ってしまった。

窓の鍵を掛け忘れた。

ブレーカーの状態を変えたままにしてしまった。

そのときは小さなことに見えても、何か起きれば小さなことでは済みません。

ですから私は、

物件を見終わることと、内見が終わることは、少し違う

と思っています。

お客様が見終わってから、物件を元の状態に戻す。

そこまでが、案内する側の仕事です。

そして玄関を出たあと、その先は毎回同じではありません。

お客様が物件を気に入ってくださって、

「この物件で進めたい。」

という話になることもあります。

そこから申込みへ進み、契約へつながることもあります。

一方で、

「自分たちには、この物件ではないな。」

という結論になることもあります。

もちろん、それでいいんです。

内見をしたからといって、その物件を買わなければならないわけではありません。

実際に見て、

歩いて、

開けて、

水を流して、

外を見て、

周囲を歩いて、

ときには少し黙って音を聞く。

そのうえで、

「ここがいい。」

と思っていただくこともあれば、

「ここは違う。」

と分かることもある。

知らずに決めることと、知ったうえで決めることは違います。

その判断をしていただくために、私たちは物件をご案内しているのだと思います。

そして、お客様の内見が終わったところから、私の最後の仕事が始まります。

スリッパを回収する。

照明を確認する。

窓を確認する。

戸締まりを確認する。

ブレーカーを確認する。

派手な仕事ではありません。

お客様は、もう玄関の外にいるかもしれません。

誰も見ていないこともあります。

それでも確認します。

なぜなら、これは物件の評価とは別の仕事だからです。

お預かりした物件を、きちんとした状態でお返しする。

それも、案内をした者の責任だと思っています。

考えてみると、このシリーズでは、ずいぶんいろいろなところを見てきました。

道路を見たり、

境界を見たり、

窓を見たり、

収納を見たり、

キッチンに立ったり、

玄関の鍵を見たり、

家の周囲を歩いたり。

前回は、とうとう、

「少し黙ります。」

でした。

79回もやれば、さすがに見るところもなくなってきます。(笑)

でも最後に残っていたのが、

「帰るとき」

だったのかもしれません。

そのあと契約につながることもあれば、

「今日はありがとうございました。」

と、そこでお客様とお別れすることもあります。

結末は、その都度違います。

でも、私のすることは変わりません。


「結末が変わっても、私のすることは変わらない」

物件を見る。

お客様をご案内する。

そして最後に、元の状態に戻す。

そこまで終わって、ようやく私の内見も終わります。

もしかすると、これは内見の中で一番地味な確認かもしれません。

でも、

最後だからこそ、確認する。

お客様をご案内するところから、

物件を元の状態に戻すところまで。

そこまでが、私にとっての内見です。

だから私は、

「最後まで確認します。」

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