◆植田総裁は「利上げに打ち止め感を出さない」狙いのメッセージを事前発信◆
(MCレポート251202-a)
植田和男日銀総裁は12月1日の講演・記者会見で、タカ派的なメッセージを発信。市場に12月追加利上げへの準備を強く促しました。
この問題について、追加でコメントします。

木原官房長官の記者会見での発言は「無反応」、調整進捗を示唆
植田和男日銀総裁は名古屋で12月1日に行った挨拶(講演)で、次回の金融政策決定会合では「利上げの是非について、適切に判断したいと考えています」と発言。追加利上げに向けた「地ならし」を大きく進め、市場は事実上の利上げ「予告」と受け止めた。
(この問題については、同日のnoteへの投稿「◆12月会合での追加利上げに向けて「地ならし」を大きく進めた植田日銀総裁◆」ご参照)
https://note.com/charm_jacana8795/n/n507fd1c34251
こうしたタカ派発言に対する高市政権の反応が注目されたわけだが、同日午後に記者会見した木原稔官房長官は、「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきだ」「コストプッシュではなく、賃金上昇も伴った2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融政策運営を行うことを期待している」と述べるにとどめ、植田氏の発言内容への「コメントは差し控える」とした。
反発や不満めいた発言が一切なかったことは、日銀の追加利上げを巡る政府との水面下での調整が、かなり進んだことを示唆している。
「利上げの打ち止め感」回避の事前発言に込められた狙い
1日の総裁講演・記者会見で目立ったのは、追加利上げを近く決めた後も政策金利は「まだ緩和的」だという認識を、植田総裁が強調した点である。「政策金利を引き上げるといっても、緩和的な金融環境の中での調整であり、例えて言えば、景気にブレーキをかけるものではなく、安定した経済・物価の実現に向けて、アクセルをうまく緩めていくプロセスだと考えています」との発言が、講演で聞かれた。
「実質金利の現状を踏まえ『政策金利を引き上げると言っても、緩和的な金融環境の中での調整だ』と踏み込んだ。こうした発言は従来、利上げ決定の際に行ってきたが、今回は利上げを決定する前の段階で言及した」(ロイター)。
日経新聞は翌2日の朝刊1面の記事の見出しを「利上げしても『まだ緩和的』」として、このメッセージを前面に出した。
また、1日午後の記者会見では、以下のやり取りがあった(時事通信の詳報から引用)。
Q)今の金利水準は、自然利子率、中立的な金利よりは、まだ極めて低い水準なのではないかという市場の見方がある。遅すぎず早すぎず利上げをしていくということは、すなわち今回、仮に近い将来0.75%まで政策金利引き上げても、その先にも何度か利上げがあるのではというのが今の市場の見方だと思う。今後どういうペースで利上げしていくか、なかなか判断難しいとは思うが、総裁の考えでは、今の政策金利というのは中立的な水準からは相当距離があるというふうにお考えか。
A)現在の金利水準は基本的には中立金利より低いというふうに考えている。ただ、どれくらい距離があるのかという点に関しては、最近のMPM(金融政策決定会合)の会見の中でお答えしたのと同じ答えになるが、次回利上げをすることがあれば、その時にその時点での考えをもう少しはっきりと明示させていただければと思う。
日銀が推計している中立金利のレンジ「1.0~2.5%程度」からすれば、政策金利が0.75%になってもまだ「緩和的」であり、日銀は少なくとも1.0%までは利上げしたい願望を抱いていると推測される。したがって、植田総裁の発言内容に、特段の違和感はない。
問題は、それが出てきたタイミングの早さである。
理由として考えられるのは、以下の2つ。
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