「奇跡の推し活」制作日記 Day10|俺は何を期待していたんだろう
どうもサラリーマンAI絵本作家の本郷ジェイピーです。
今日は10ページ目。
ずっと会いたかった彼らに会えたはずなのに。
帰り道のじゅんやの心には、寂しさだけが残っていました。
■ 動画を開かなかった夜

帰りの電車。
じゅんやは動画を開かなかった。
イヤホンもつけなかった。
ただ窓の外を流れていく暗い町をぼんやりと眺めていた。
いつもなら彼らの動画を見ながら帰る時間。
でも今日はそんな気持ちにはなれなかった。
■ 頭では分かっている
当然なのだ。
彼らには二百万人を超える登録者がいる。
これまで何万人ものファンに会っている。
昔のファン一人を覚えていなくても何も不思議ではない。
彼らが悪いわけでもない。
頭ではちゃんと分かっている。
それでも。
胸が痛かった。
■ 自分だけが持っていたもの
自分だけが「あのころからの関係」
を大切に持ち続けていたような気がした。
小さなイベントで話したこと。
名前を覚えていてくれたこと。
何年も応援してきたこと。
じゅんやにとっては
どれも大切な思い出だった。
でも彼らにとって今の自分は――
何万人もいるファンの一人。
その事実が
思っていた以上に寂しかった。
■ 「何を期待してたんだろう」
「俺……何を期待してたんだろう」
じゅんやは小さくつぶやいた。
ふと電車の窓を見る。
そこには四十四歳の自分が映っていた。
少し疲れた顔。
かつてイベントの帰り道
同じ窓に映った自分の顔が
少し若く見えたことを思い出す。
でも今日は違った。
その顔を見ながらじゅんやは急に――
自分がひどく小さな存在になったような気がした。
10ページ目では、推しとの距離を感じたことで、じゅんやの気持ちが「自分自身」へ向かい始めます。
なぜ覚えてもらえていないことが、これほど苦しいのか。
じゅんや自身もまだ、その答えには気づいていません。
次回もどうぞお楽しみに。
