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【おしらせ】オムネス・フィルムズ特集のパンフレットに寄稿しました


【おしらせ】オムネス・フィルムズ特集のパンフレットに寄稿しました

パンフレットのイメージ
※Gucchi's Free Schoolより画像提供

おはようございます、チェ・ブンブンです。

本日は告知があります。11~12月にかけてBunkamura ル・シネマ渋谷宮下にて上映されるオムネス・フィルムズ関連作のパンフレットに寄稿いたしました。オムネス・フィルムズとはLAを拠点に活動するインディペンデント映画集団です。

「現代映画の空白を埋めること」

をスローガンに、通常の映画とは異なる時間の流れでストーリーを展開することから近年国際的に注目が集まっています。先日公開され話題となった、おっさんが草野球をするだけの映画『さよならはスローボールで』もまた、オムネス・フィルムズの作品となります。

今回、Gucchi's Free Schoolさんの企画により全6本のオムネス・フィルムズが上映となります。僭越ながら、そのパンフレットに全ての作品の解説を寄稿いたしました。

パンフレットの目次
※Gucchi's Free Schoolより画像提供

通常、映画のパンフレットには1つの記事を寄稿するのが慣例だとは思いますが、まさか6本も書かせてもらえる大仕事を託してくださり戦々恐々でしたが、良きガイドを作れたと思います。

軽くですが、各作品の紹介と寄稿文のポイントを語っていきます。

【タイラー・タオルミーナ監督特集】
11/7(金)~11/20(木)公開

1.ハム・オン・ライ/Ham on Rye(タイラー・タオルミーナ/2019)

郊外のティーンエイジャーたちは「人生で最も重要な日」に、イニシエーションとして儀式の会場であるデリカテッセン《モンティーズ》へと向かう。この儀式で結ばれた男女は夕陽へと消えるが、取り残された者はダウナーな虚無に身を投じることとなる。

日本では何度か限定上映され話題となったタイラー・タオルミーナ代表作は、一貫して掘り下げられる「サバービア文化」への考察の取っ掛かりとして観やすい一本となっています。

パンフレットでは、《サバービアの憂鬱に取り残された人々》と題し、映画におけるサバービア文化の表象に詳しい大場正明「サバービアの憂鬱」を軸とした文章を書きました。

2.ハッパーズ・コメット/Happer's Comet(タイラー・タオルミーナ/2022)

映画.comより画像引用

タイラー・タオルミーナが新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンの期間中に制作した『ハッパーズ・コメット』は、夜の郊外のダウナーな時間の流れに眼差しを向けています。明瞭なストーリーはなく、登場人物のなにかを秘めた表情のモザイクを読み解く抽象画のような作品。

この作品を読み解くヒントとして、寄稿文《失われた日常を求めて》の中でジョナサン・クレーリー「24/7 眠らない社会」にある日常論を足掛かりとしながら、近年のインディーズ映画の傾向と併せて論じてみました。

【クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント】
11/21(金)より公開

3.クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント/Christmas Eve in Miller's Point(タイラー・タオルミーナ/2024)

2024年はオムネス・フィルムズ躍進の年でした。『ノー・スリープ・ティル』がヴェネツィア国際映画祭批評家週間でスペシャル・メンションを受賞、ベネズエラ映画『Los Capítulos Perdidos』の発表、そして2本の作品がカンヌ監督週間へ出品されました。

そのうちの1本『さよならはスローボールで』はフレデリック・ワイズマンを起用したことで話題となったが、軍団のリーダー格ともいえるタイラー・タオルミーナは『クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント』でスティーヴン・スピルバーグの息子ソーヤーとマーティン・スコセッシの娘フランチェスカを招きました。

そんな本作は、『ハム・オン・ライ』『ハッパーズ・コメット』に引き続き、サバービア論を深化させて、クリスマスの煌びやかなイメージと重ねながらサバービアにおける世代の断絶へと眼差しを向けました。

寄稿文《恍惚から逃げるように、ダウナーなダイナーへ、子どもたちは》では、「サバービアの憂鬱」だけでなくマーシャル・マクルーハン「メディア論」の理論を援用しながら、クリスマスのイメージがどのように物語に影響を与えているのかを分析しました。

また、本寄稿文は新規書下ろしであり、以前ブログでは『アメリカン・グラフィティ』との類似性を指摘したのだが、タイラー・タオルミーナが影響を受けた別の作品が明らかとなったので、その作品についても触れています。

【オムネス・フィルムズ特集】
12/19(金)より公開

4.バーナード・チェックイン/Bernard Checks In(マイケル・バスタ、2021)

映画.comより画像引用

モーテルに滞在するビジネスマンが型破りなセックスワーカーとエンカウントするミニマルな短編映画『バーナード・チェックイン』。デヴィッド・リンチ映画のような異様な色彩に覆われた空間で展開される不穏な時間は観る者の心をざわつかせるものがあります。

寄稿文《仮設された聖域「モーテル」に闖入者を》では、映画におけるモーテルの役割に着目し、人間心理がどのように映画に投影されているのかについて掘り下げてみました。

5.トポロジー・オブ・セイレーン/Topology of Sirens(ジョナサン・デイヴィス、2021)

恐らく、日本でオムネス・フィルムズ作品が注目されたのは日本未公開映画に詳しい済東鉄腸氏やKnights of Odessa氏が本作を激推したのが初だと思われる。

私も以前、観ていたのだが面白い一方で言語化が難しくブログに書かなかった作品。今回の寄稿に併せて、何回か観直していくうちに見えてくるものがありました。

亡くなった叔母の家から古い楽器を見つけるアマチュア音楽家のキャス。彼女はその楽器の中から謎のカセットを見つける。これらのカセットに収録された音はどこから来たのだろうと冒険に出る物語。

本作を観るといくつか気になる部分があると思うのだが、その部分に関しては既に済東鉄腸氏の監督インタビュー記事で記載があったので、私は《オムネス・フィルムズ式「位相幾何学入門」》と称し、本作に揺蕩うトポロジーの概念とそれが他の作品にどのように影響を与えたかについて書きました。

6.ノー・スリープ・ティル/No Sleep Till(アレクサンドラ・シンプソン、2024)

2024年に公開された『ツイスターズ』が気象データを収集・研究をするため、また趣味で嵐を追いかけるストームチェイサーをテーマにした作品でした。本作では、本物のストームチェイサーを役者として起用した異色作です。

ハリケーンの接近で避難が進むフロリダ州アトランティック・ビーチを舞台に、その地に残る者、夢を追いかけながら現実逃避する者、ハリケーンに向かっていく者などの肖像を浮き彫りにさせていく作品。

移動を通じた心象世界の表象としてガス・ヴァン・サント作品との類似性があったため、寄稿文《ストームを待ちながら》では比較を行いました。オムネス・フィルムズの作品は音楽にこだわった作品が多いのですが、本作のクライマックスで流れる音楽があまりにも感傷的で思わず涙を流しました。

最後に

オムネス・フィルムズ作品を追っていた身として、このような大きな仕事を任されたことを嬉しく思います。感覚的で数回観ないと言語化し難い作品が多いので、よきガイドが作れたかなと思います。

なお今回の特集で上映が叶わなかったオムネス・フィルムズ産ベネズエラ映画『Los Capítulos Perdidos』は、『トポロジー・オブ・セイレーン』と併せて観ると面白い作品です。気に入った方は探してみていただけたらと思います。

【開催情報】

以下のスケジュールでBunkamura ル・シネマ渋谷宮下にて公開。

◆タイラー・タオルミーナ監督特集※11/7(金)~11/20(木)

ハム・オン・ライ
ハッパーズ・コメット

◆クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント※11/21(金)~

クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント

◆オムネス・フィルムズ特集※12/19(金)~

バーナード・チェックイン
トポロジー・オブ・セイレーン
ノー・スリープ・ティル


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CHE BUNBUN 映画ブログ『チェ・ブンブンのティーマ』の管理人です。よろしければサポートよろしくお願いします。謎の映画探しの資金として活用させていただきます。