ジョージアのワイナリーに行った話
まえがき
■無形文化遺産クヴェヴリワインとは?
こんにちは、チェ・ブンブンです。
今回のジョージア旅行で最大の目玉はクヴェヴリワインを飲むことであった。クヴェヴリワインとは、土器を使ったジョージア特有のワインで2013年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。日本ではAmazonで独特な壺に入ったクヴェヴリワインを買うことができる。数年前に買ってみて、結構飲みやすかった記憶がある。
さて、先日シアター・イメージフォーラムで開催されているオタール・イオセリアーニ映画祭で『唯一、ゲオルギア』を観た際にクヴェヴリワインが作られる様子を目の当たりにした。折角なので行ってみることにした。
今回、手配したツアーではカヘティ地方の民家で昼食を取り、ジョージア文化を学んだ上でワイナリーに行くというものであった。
■ジョージア人に訊く、生事情について
ドライブ中は、ガイドさんと運転手とおしゃべりを交わす。ジョージア人は複数の言語を使う。ソ連統治下の時代を生きた50代以降の方は、英語が通じずロシア語で話しかけてきたりする。一方、若い人は英語の他にフランス語を使うケースが多い。外国人がジョージア語を積極的に使うことは少ないらしく、ジョージア語で話しかけると「どこで学んだんだ?」と身を乗り出すように訊いてくる。自分は語学力は高くないのだが、英語、フランス語、ロシア語、ジョージア語が少し使える。今回の旅は、複数言語をフル回転させながらコミュニケーションを取った。
運転手が、おもむろに「On y va(オニヴァ)」と言った。これはフランス語で「レッツゴー」を示す言葉だ。
Français? Je parle français un peu!
フランセ?ジュ パール フランセ アン プ!
(フランス語かい?フランス語少し話せますよ!)
と唱える。すると「マジか!」と盛り上がる。その流れで、ジョージアの情報をたくさん教えてくれる。ジョージア人は、国としては東ヨーロッパに所属しているのだが文化的にはアジア人としてのアイデンティティがある。その複雑さの中で生きている。コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻によりロシア人が大量にトビリシへ移住したせいで地価が高騰。大学がトビリシに集中していることもあり、ジョージアの学生は苦労している。シュクメルリはマイナー料理で自分は食べたことがない。などといったことを教えてもらった。
雑談をしていると突然、運転手が「パン工房に寄り道しようぜ!」と言ってきた。
急遽、パン工房見学が始まった。
第一部:パン工房見学

パン工房では、仙人のようなおばあちゃんが釜の中に顔を突っ込みながらパンを作っている最中であった。
მე იაპონელი ვარ.
メ イアポネリ ヴァル。
(私は日本人です。)

と言うと、「そうかい。パン食べるかい?」と現地の新聞に包みながら渡してくれた。ふっくらしていて美味しかった。

外では、付け合わせのチーズが売られていた。ジョージアではチーズと一緒にパンを食べるのが主流らしい。
第二部:突撃!民家の昼ごはん
■ジョージアの民家訪問

角は直立しないので、一気飲みする時に使うとのこと。
車を走らせること2時間。

民家に到着した。ブドウはもちろん、野菜や蜂蜜を作ってるこの民家で昼食を取ることにした。ジョージアの農村部では、定期的に宴会が開かれる。単に食事をするだけではなく、情報交換をしたりゲームをしたりして親睦を深めるとのこと。日本の宴会に近いものがある。

甘いけれど、油断すると簡単に酔いが回ってくる
ワイナリー前に完全に出来上がってしまいました
■旅行に便利なジョージア語3選
民家では、英語は通じないので、つたないジョージア語でコミュニケーションを取る。便利な言葉は以下の3つだ。
1.გემრიელია.
ゲムリエリア。
(美味しい)
2.Ეს რა არის?
エス ラ アリス?
(これは何ですか?)
3.მადლობა.
マドロバ。
(ありがとう)
大抵なんとかなります。
■ジョージア料理&ワイン

一番、ジョージアのロールキャベツが良かった。
ハチャプリ、ヒンカリはもちろん、初めて見るような料理が所狭しと並んでいる。個人的にトルマと呼ばれるジョージア式ロールキャベツが大好きであった。キャベツの中に米と挽肉が入っており、それをトマトソースで煮込んだものだ。日本でも親しまれそうな料理だと思った。


前に来た日本人観光客が買って行ったそうだ。

右)ジョージアのコニャック
昼食は、ジョージアのお酒飲み比べ大会となった。数年前にクヴェヴリワインを飲んだ舌の記憶では、「甘い」認識であった。現地で飲むお酒は数段甘く感じた。最初にコニャックを飲む。コニャックには疎いのだが、アイスにかけたら美味しいだろうなと思うほどの甘みが口に広がった。美味しいので、一杯、二杯とショットグラスが進むのだが、あっという間にできあがってしまった。赤ワインも同様だ。私は赤ワインの苦味が得意ではない。そんな私ですらスイスイと飲めてしまうぐらい軽くてほんのりとした甘みがあった。トルマの肉汁染み込むトマトとの相性は抜群だ。
■ジョージア人とボードゲームをしてみよう!

昼食も中盤、おじさんたちはボードゲームをやり始めた。親睦を深めるのにボードゲームは必要不可欠らしい。確かに、高校時代マレーシアの民家に潜入した際にマンカラで遊んで仲良くなった記憶がある。
実際に、私も遊んでみた。バックギャモンっぽいゲームだなと思ったら、もろバックギャモンであった。小学生の時、「だれでもアソビ大全」でやりこんでいただけに、おじさんに勝つことができた。
第三部:いざ、ワイナリーへ
■クヴェヴリワインの作られ方

「君、酒弱いね!」
酒強いとイキっていたものの、コニャックに油断して若干呂律が回らなくなっていた。ガイドさんがにこやかに煽ってきた。



清掃が重要だ。
時には中に人が入ってメンテナンスを行う。

ワインの専門家に案内される。
クヴェヴリワイン作りは、収穫した葡萄を木箱に集め、足で潰すところから始まる。液状になったブドウは、クヴェヴリ(土器)に集められる。クヴェヴリの綺麗さが品質に影響してくるので、専用の清掃道具が使われる。時には、クヴェヴリの中に人が入ることもあるとのこと。
■映画『クヴェヴリ』について教えてもらった

ガイドさんは、映画好きな私のために参考となる作品を紹介してくれた。ずばりタイトルは『クヴェヴリ(ქვევრი)』だ。『ルナ・パパ』の脚本家であるイラクリ・クヴィリカーゼのデビュー作で、クヴェヴリのメンテナンスに来た男が出られなくなってしまう騒動を描いたコメディとのこと。本作は日本の映画データベースアプリFilmarksはもちろん、英語圏最大の映画サイトIMDbにも掲載されておらず、フランス語のWikipediaを検索してようやく辿り着けるような作品。ジョージア映画祭でも上映されたことがないらしく、日本からでは認知することが不可能に近い作品だ。この映画の存在を知れたことは、旅の中で一番のお土産となった。
■実際に本場でクヴェヴリワインを飲んでみよう

白ワイン2本、赤ワイン2本をテイスティング

ポートワインみたいですねと言ったら。
ポートワインではないよ!と言われた。
にわか丸出し、この失態。
さて、待ちに待ったテイスティングの時間がやってくる。葡萄の皮でオイルで作ったオイルをパン、チーズにつける。これをつまみに、白ワイン2本、赤ワイン2本を飲む。どれも軽めのだ。特に赤ワインは、民家で飲んだもの以上に甘い。
「ポートワインっぽいですよね。」
と専門家に話してみたら、「ポートワインではない。製法が全く異なるよ。」と言われた。にわか丸出しである。
■ジョージア語の勉強方法について
ジョージア語で「ゲムリエリア」と連呼していたら専門家に、
「君、かわいいね。どこでジョージア語を勉強したんだい?」
と訊かれた。
自分が使用したのは白水社より発刊されている「ニューエクスプレスプラス グルジア語」だ。とはいえ、勉強時間は2日、3時間程度で、ジョージアの文字と数字、基本的な挨拶を覚えた程度。それでも、熱心に勉強してきたことを褒められた。語学は孤独なので、実際の話者から褒められるとモチベーションアップに繋がります。ジョージアがますます好きになった一日であった。

小瓶が可愛いですね。
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