【短編小説】 #せりふ三題噺(氷、サンバルソース、豚)
はらとけいさん、企画に参加させていただきます☺️。
■セリフ「これはきついって」
■三題
・氷
・サンバルソース
・豚
***
「……んだよ、これ?」
漫画で言うところの目を白黒させながら、湘太は氷の入った水をひっつかみ、一気に飲み下した。
味云々の問題もある気もするが……今はそんなことよりも、とにかく、からい。
「おま……何食わせた!?」
氷水じゃどうにもならず、悶絶する。
「ナシゴレンよ?サンバルソースを使ったチャーハン。今ハマってるの」
作った張本人。微笑みながらパクついてる奈穂は……きっと人ではない。
「んだよこれ……。これはきついって!」
「あのさぁ……そこまで演じられると逆にムカつくからやめて」
ムカつかれても、やめてと言われても。
辛すぎて口の中はマグマのようなのに、身体は何かわからない震えで……演技ではなく死に至りそうだ。
脂汗がにじみだす中、涙も鼻水も唾もぶざまに垂れ流し状態だ。
「あれ?奈穂ちゃん、ここにあったピーマン、もしかして使った?」
すぐそこにカウンターにいるマスターの声が、遠くの方で聞こえる。
「ダメだった?」
「いや、先祖返りしちゃってとんでもなく辛いんだって。切る時、手がヒリヒリしただろ?大丈夫?」
「そう?……でも私、これくらいなら全然いけるわよ?」
湘太は、涙目のまま皿を見た。
めちゃくちゃ細かく切り刻まれている緑のやつが、からみの原因だとしたら……これはマジでヤバいやつだ。
「っていうかさ……」
ひと言、どうしても奈穂に言ってやりたい。
「ナシゴレンって、インド料理なのに……なんで豚肉が入ってんだよ……」
息も絶え絶え、ようやくつぶやくと、奈穂の方は呆れたようにため息をついた。
「あんたバカ?インドじゃなくてインドネシアよ。っていうか、せっかく作ってあげたのに。細かいこと気にしてんじゃないわよ!チャーハンは美味しけりゃいいの!」
そう言って、涼しい顔で自作の南国風チャーハンを頬張っている。
……もはや、常人ではない。
ーーとりあえず。み……水……くれ。
この負けず嫌いには、勝てる気がしない。
天野さん、ありがとうございました😊。
はらとけいさん、いつもありがとうございます😊
