【短編物語】 『半透明の海』 〜風まかせな物語〜
iさん、企画に参加させていただきます☺️。
●お題:”半透明の海”
***
『人類の祖先は、かつて海に住んでいた』
それを知った時は、心底驚いたものだ。
ーー生命の起源は、海だと?
しかも、しばらくの間は、人類も海の生き物を食していたというではないか。
よほど地球という惑星は、恵まれていたのだろう。
ここは小惑星『セピア』だ。
他の惑星と違い、唯一、海を持っている。
だが。液体であることには変わりないそれは……半透明の海。
濁っているというか、とろみがあるというか。いや、触れることすら危険とされている。
「セピアの半透明の海なんかじゃなく……青い海とか!白い砂浜とか!実際に見てみたいと思わないか?」
アシュアにそう話してみたら、一蹴された。
「ここはセピアよ。そんな風に大昔を懐かしんで、どうなるの?バカなの?そんなのと比べたところで、何も変わりはしないのに」
……相変わらず、ロマンのわからない輩だ。
だいたい、基地は無機質な建造物に囲まれていて、出身は永久凍土に覆われた第5惑星。
そこそこ自然というものはあったが……だからこそ、大自然というものに憧れてしまうのに。
……といっても。
海がかつてどんな色合いをしていたのか……そんなのは、もう、過去の古いデータ上でしか知ることはできない。
そんな悲観した思いでいると。
「じゃあ見てみる?似たような場所なら知ってるわ。今の時期ならたぶんある」
アシュアはそんな風に言った。
どうせ大したことないだろうとたかをくくって、飛行艇で連れられて来てみたのだが。
「何だ、ここは……」
その光景に息を呑んだ。
青い海。いや、青い空を映す水鏡のような海が、そこにあったのだ。
どこまでも白い砂浜が続いていて……。
「砂じゃないわ、塩よ。ここは塩湖なの」
アシュアは淡々と告げた。
「前見せてくれた夕日、ここなら近いものが見れると思うわよ。あの塩グミの材料、ここでとったの」
感激しかけたというのに……とんでもない暴露話まで聞かされてしまった。
ついでのように言うなと思う。
だが、まぁあの塩辛いだけのアレの話は今は置いておこう。
なんというか……見たことのない、美しい光景に胸を打たれていて。
「アシュア。人というのは欲深いものだな。願いが叶うと……次の願いが湧くらしい」
そうつぶやく。
「今度は何?」
「せっかくだ。水着でも着てみないか?」
ほんの下心だ。つい本音が漏れた。
絶対に絵になると思ったのだ。
「あなたって本当にバカね。ここは浅いの。それなら半透明の海辺の方がいいんじゃない?」
ふとため息をつくアシュアに、着てくれるのか?と、そう思ったのだが。
「あっちならあなたを沈めてあげれそう」
郷土の惑星よりも冷たい、冷ややかな視線に見舞われたのだった。
この話に繋げて書いてみました☺️
宵空さん、いつもありがとうございます😊
