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『星猫神の継承録』第35話―星記録の欠片と、次なる因縁―

 星風の旅団の初勝利が、ステラドームに静かなざわめきをもたらしていた。
 闘技場の外、記録の間にて――
 ミナたちは報酬として渡された“星記録の欠片”を囲んでいた。



「これは……?」

 手のひらほどの大きさの星型結晶。
 そこには淡い光で、記憶のような映像が映し出されていた。



「私は、選ばれなかった。けれど……
だからといって、星を嫌いになれなかった」

「せめて、誰かが継いでくれるなら――
この想いは、星に預けよう」



 キィが、そっとその光に手を伸ばす。

「これ……きっと、セレネの中に残ってた“もう一人”の想いだよね」

「選ばれなくても、誰かを憎まないでいられるなんて……」

 ミナが目を細める。



 そのとき、ルーファの星帳が光った。
 次の対戦カードが浮かび上がる。



【第2戦|対戦カード】
星風の旅団 vs 銀閃のリティア(個人出場)



「銀閃……?」

 スピカが反応した。

「……リティアって……」



 その名は、彼がかつて守ろうとし、
 けれど、間に合わなかった少女と同じ名前だった。



「スピカ……もしかして」

「……わからない。でも……もし、あのときの“あの子”なら……
 今ここにいるってこと自体、俺は……」



 その言葉を遮るように、控室のドアが開く。

 現れたのは、銀色の剣を背に背負った細身の猫族の少女。
 澄んだ瞳で、スピカをまっすぐに見つめていた。



「スピカ。会いに来たの。あなたに――“答え”をもらうために」



 彼女の声には怒りも憎しみもなかった。
 けれど、その静かさが逆に、胸を締めつけるようだった。



「……君は、“あのとき”の……」



 そして、ミナはふと気づく。
 風袋の中に、微かに銀色の羽根がひとつ、ひらりと現れていた。



「これは……あの人の“記憶”……?」



 リティアは静かに笑った。

「次の試合、私は全力でいくよ。あなたが“過去と向き合う”ために」



【次回予告|第36話】

「銀閃の剣と、交差する誓い」
リティアの剣は、スピカの心を揺らす。
かつて守れなかったものを、今度は守れるのか。
共鳴ではなく、誓いと誠実さだけで交わされる戦いが始まる。



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