青の熱帯夜(シロクマ文芸部)
寝苦しい夜だった。
汗がじわりとまとまりつく。
窓を開けようとした、その瞬間。
うつくしい人魚がこちらに向かって手を振っている。
目をこすり、2度見した。
やはり人魚だった。
人魚はその様子がおかしかったのか、けらけらと笑いながら去っていった。
窓の外をじっと見る。
よくわからない鮮やかな魚が空を泳いでいる。
俺は腰を抜かした。
「お客さん、出発の時間ですよ」
顔のない制服の異形が、覗き込んでいた。
周りを見渡すと、そこは「電車」のなか。
おれは理由がわからず、ほかの生き物にならい、椅子に腰かけた。
「ツギハ 終点、ウミナカエキ」
皆立ち上がり、いそいそと出口へ向かう。
気づくとおれもその波に流され、海のなかにほおりだされていた。
「息が…できなっ…!!!!」
ブクブクブク プク
そこで、おれは目を覚ました。
ビショビショの枕が俺の顔に乗っていた。
「なんだ、夢か…」
小さな魚がピチピチはねている。
おれは、それを見なかったことにした。

小牧幸助さんのお題「熱帯夜」に参加させていただきました。
#シロクマ文芸部
