見出し画像

骨粗鬆症に対して、オステオパシーではどのように評価・施術するのか?|骨だけではなく「なぜ」を考える



骨粗鬆症について、これまでの記事では、

「なぜ骨が弱くなるのか?」

というところから、年齢、女性ホルモン、栄養、運動、生活習慣など、さまざまな原因について考えてきました。

では実際に、オステオパシーでは骨粗鬆症のある身体をどのように評価するのでしょうか?

オステオパシーで大切にしているのは、

「骨粗鬆症という結果が生まれている身体を、全体として評価すること」

です。

骨は、骨だけで状態を保っているわけではありません。

身体のさまざまな働きが関わりながら、骨の代謝や成長、修復、そして強さが維持されています。

そのため、骨密度の数値だけを見て、

「骨を強くするには何をすればいいのか?」

と考えるだけではなく、

「なぜ、この身体では骨が弱くなっているのか?」

というところから評価していきます。


まずは、骨粗鬆症の背景を知る

最初に大切なのは、その人の骨粗鬆症がどのような背景から生まれているのかを知ることです。

例えば、閉経後の女性なのか。

高齢になって活動量が落ちてきた方なのか。

長期間ステロイドを使用している方なのか。

成長期の子どもなのか。

あるいは、甲状腺や副甲状腺などの疾患、腎臓や消化器の問題、その他の病気が背景にあるのか。

骨粗鬆症には、加齢や閉経などに伴うものだけではなく、病気や薬剤、身体活動の低下などが関係する「続発性骨粗鬆症」もあります。

そのため、まず医学的に確認されている原因やリスクを把握することが重要です。

必要であれば、血液検査や画像検査、骨密度検査などによって状態を確認し、薬物療法などの治療が行われます。

そのうえでオステオパシーでは、

「その人の身体には、どのような背景があるのか」

をさらに細かく見ていきます。


女性の場合|「閉経したから」で終わらせない

女性の骨粗鬆症では、閉経に伴う女性ホルモン、特にエストロゲンの低下が大きな要因になります。

これは医学的にもよく知られていることです。

ただ、オステオパシーでは、

「エストロゲンが低下している」

という情報だけで評価を終えることはありません。

例えば、

  • 閉経前後で身体にどのような変化があったのか

  • 月経周期に問題がなかったか

  • 過度なダイエットや低体重がなかったか

  • 運動量はどうだったか

  • 睡眠や食事はどうだったか

など、その人の生活や身体の変化を確認します。

さらに、骨盤周囲の状態にも注目します。

卵巣や子宮などの生殖器官だけを見るという意味ではありません。

骨盤には多くの組織が集まり、腹部や下肢、脊柱ともつながっています。

例えば、長期間の運動不足や痛みなどによって身体の使い方が変化していれば、骨盤や下肢にかかる荷重の状態も変わってきます。

そこで、

「骨盤がどのように動いているのか」
「股関節や足部が荷重を受けられているのか」

といったところを評価します。

ホルモンの変化そのものを手技によって元に戻す、という考え方ではありません。

ホルモン環境については医学的な評価を行いながら、オステオパシーでは、その身体がどのような状態で機能しているのかを見ていきます。


高齢者の場合|「骨が弱くなった」だけではなく、動きの変化を見る

高齢者の骨粗鬆症では、骨密度の低下だけでなく、身体活動の低下も重要な問題になります。

以前は毎日歩いていた。

階段を使っていた。

買い物に出かけていた。

庭仕事をしていた。

そんな生活が、年齢とともに少しずつ減っていくことがあります。

すると、身体にかかる荷重や筋肉への刺激も減っていきます。

筋力が落ちる。

動くことが億劫になる。

さらに活動量が減る。

その結果、身体にかかる刺激がさらに少なくなる。

こうした悪循環が生まれることがあります。

ここでオステオパシーが評価するのが、**「その人が動ける身体なのか」**という部分です。

例えば、

「歩くと膝が痛い」

という方がいたとします。

膝だけを見て終わるのではなく、

足首は十分に動くのか。

股関節はどうか。

骨盤は歩行に合わせて動いているか。

背骨や胸郭は動いているか。

こうした部分を確認しながら、身体全体の動きを見ていきます。

もちろん、骨粗鬆症がある方では転倒や骨折にも十分な注意が必要です。

強い刺激を加えることが適切とは限りません。

その人の骨の状態や既往歴、現在の症状を確認したうえで、安全性を優先して施術を行います。


小児の場合|「成長できる身体なのか」を考える

小児の骨粗鬆症では、成人とは少し違った視点が必要です。

子どもの骨は、単純に「今ある骨を維持する」だけではありません。

成長に合わせて骨格そのものが発達していきます。

そのため、

「骨が弱い」という結果だけではなく、「成長や発達がどのように進んでいるのか」

を見ることが重要になります。

例えば、長期間のステロイド治療を受けている子どもでは、骨の発達や骨折リスクに注意が必要です。

その他にも、性腺機能の低下、甲状腺機能の異常、血液疾患、活動量の低下など、さまざまな背景が骨の状態に影響することがあります。

小児では、成長曲線などから成長の経過を確認することも大切です。

オステオパシーで評価する場合には、こうした医学的な情報を踏まえたうえで、

「身体をどのように動かしているのか」

「左右差はないか」

「関節の動きに偏りはないか」

「日常生活の中で十分に身体を使えているか」

などを確認します。

例えば、脳性麻痺などによって身体を動かすことが難しい子どもでは、骨への荷重刺激が少なくなることがあります。

その場合には、「骨だけをどうするか」と考えるのではなく、その子が安全に、できるだけ身体を使える環境をどう作るかという視点も重要になります。

小児の場合は特に、成長や疾患に対する医学的な管理が優先されます。

オステオパシーは、その中で身体の動きや機能を評価する一つの方法として考えます。


ホルモンを「出す場所」だけを見るわけではない

ここは、オステオパシーで身体を見るときに特徴的な部分かもしれません。

例えば、甲状腺ホルモンは骨の代謝にも関係しています。

そのため、甲状腺機能に問題がないかを医学的に確認することは重要です。

一方でオステオパシーでは、甲状腺だけを単独で見るのではなく、

その器官が身体の中でどのような位置関係にあり、周囲の組織とどのような関係を持っているのか

という構造的な部分にも目を向けます。

首や胸郭の動き、呼吸、周囲の組織の状態などを評価することがあります。

これは、

「首を施術すれば甲状腺ホルモンが正常になる」

という意味ではありません。

そうではなく、

身体の一部分を孤立した器官として見るのではなく、全身の構造と機能のつながりの中で捉える

というオステオパシーの考え方です。


栄養も「食べているか」だけでは考えない

骨粗鬆症というと、

「カルシウムを摂りましょう」

という話がよく出てきます。

もちろん、骨の健康を考えるうえで栄養は重要です。

ただ、オステオパシーでは、

「何を食べているか」だけでなく、「身体がそれを利用できる状態なのか」

という視点も持ちます。

例えば、食事量が少ない。

体重が極端に少ない。

消化器症状が続いている。

慢性的な病気がある。

食事が不規則になっている。

こうした背景があれば、単純に「カルシウムを増やせばいい」とは考えられません。

必要な栄養素を摂取できているのか。

身体が適切に利用できているのか。

他の病気や薬剤の影響はないのか。

こうした点は、必要に応じて医師や管理栄養士などとも連携しながら考えていく部分です。


生活環境も、骨の状態を考えるうえで大切

もう一つ、見落としたくないのが日常生活です。

例えば、

「仕事が忙しく、ほとんど座っている」

「外に出る機会が少ない」

「運動する習慣がない」

「睡眠時間が短い」

「食事の時間が不規則」

という生活をしている方と、

毎日歩き、外に出て、身体を動かし、規則正しく生活している方では、身体に与えられている刺激は大きく違います。

もちろん、生活だけで骨粗鬆症のすべてを説明することはできません。

しかし、骨は身体の中で生活とは切り離された存在ではありません。

日々どのように身体を使っているのか。

そこも、骨の状態を考えるうえで大切な情報になります。


実際の施術では、何をするのか?

では、こうした評価をしたあと、実際には何をするのでしょうか。

ここで大切なのは、

「骨粗鬆症だから、この施術をする」

という決まった施術があるわけではないということです。

例えば、

歩行に必要な股関節の動きが制限されている。

胸郭が硬く、呼吸の動きが小さい。

長期間の不活動によって身体全体の動きが少なくなっている。

骨盤や下肢の使い方に偏りがある。

こうした状態があれば、その人に必要な部分を評価し、できるだけ身体が自然に動ける状態を目指して施術していきます。

ただし、骨粗鬆症がある場合には施術の安全性が非常に重要です。

骨折の既往、骨密度、脊椎圧迫骨折の有無、服薬状況、痛みの状態などを確認し、強い圧迫や無理な矯正を避ける必要があります。

「身体を整える」という目的があっても、身体に過剰な負担をかけてしまえば本末転倒です。

だからこそ、骨粗鬆症のある方への施術では、一般的な施術以上に慎重な評価が必要になります。


骨密度という「数字」の奥を見る

骨粗鬆症では、骨密度という数字が重要な判断材料になります。

しかし、その数字だけでは、その人がどのような生活を送り、どのように身体を使い、なぜ現在の状態になったのかまでは分かりません。

例えば、同じ骨密度の人が二人いたとしても、

一人は毎日元気に歩いている。

もう一人は痛みのためにほとんど歩けない。

この二人では、これから考えるべきことは同じではありません。

だから私は、

「骨密度をどう上げるか」だけではなく、「この人の身体に何が起きているのか」

を考えます。

医学的な検査や治療で確認する部分。

生活の中で見直す部分。

身体の動きとして評価する部分。

そして、その人自身が抱えている背景。

それらを一つずつ整理していくことで、骨粗鬆症という結果の背景が少しずつ見えてきます。


骨だけを見るのではなく、「骨がある身体」を見る

骨粗鬆症は、骨密度が低下しているという一つの結果として表れます。

でも、その骨は身体の中に存在しています。

身体を支え、

歩き、

呼吸し、

食事をし、

眠り、

日々の生活を送る中で、骨もまたその影響を受けています。

だからこそオステオパシーでは、

「骨をどうするか」だけではなく、
「なぜ、この身体になっているのか」

というところから考えていきます。

女性であれば、ホルモンの変化とその背景。

高齢者であれば、活動量や身体の使い方の変化。

小児であれば、成長や発達の過程。

そして、その人に共通する日々の生活。

それぞれの背景を丁寧に見ながら、その人にとって今必要なことを考えていく。

それが、私が骨粗鬆症に対してオステオパシーで行っている評価と施術です。

骨粗鬆症という「結果」だけを見るのではなく、

その結果が生まれている身体そのものを見る。

そこに、オステオパシーから骨粗鬆症を考える意味があると私は考えています。


オステオパシー整体院Cosmosでは、痛みのある場所だけでなく、
”身体全体のつながりから整える”オステオパシー整体を行っています。
群馬県前橋市で整体院をお探しの方は、お気軽にご相談ください。

▶ご予約・ご相談はこちらから


いいなと思ったら応援しよう!