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新玉ねぎの使い方メモ|生・焼く・煮る・すき焼きまで春の台所カンペ


はじめに|春の台所には、たまに頼れる人が現れます


春の台所には、たまに頼れる人が現れます。

派手ではない。
主張も強すぎない。
でも、そこにいるだけで料理が少しまとまる。

それが、新玉ねぎです。

普通の玉ねぎより水分が多くて、
辛味がやさしくて、
火を入れると甘い。

つまり、

生でもいける。
焼いてもいける。
煮てもいける。
すき焼きに入れても、なぜか主役みたいな顔をする。

春の台所における、かなりの万能選手です。

しかも本人は、そんなに偉そうにしていません。

「いや、ボクは端の方で大丈夫です」

みたいな顔をしている。

でも、気づくと料理の中心にいる。

会議で一言も目立たなかったのに、
あとから議事録を読んだら、その人の発言が一番大事だった、みたいな存在です。

新玉ねぎ、なかなか侮れません。

今日はそんな新玉ねぎを、
生で、焼いて、煮て、すき焼きにして、
春の台所でどう楽しむかをまとめてみます。


1. 新玉ねぎは、生で食べると春がわかる


新玉ねぎの魅力は、まず生で食べるとよく分かります。

薄く切る。

少し置く。

それだけで、もう食べられる。

普通の玉ねぎのように、
「辛味を抜かねば」
「水にさらさねば」
「目が、目が」
と大騒ぎしなくても、わりと穏やかです。

もちろん辛味はあります。

でも、その辛味がやさしい。

角が立ちすぎず、
みずみずしくて、
あとからふわっと甘みがくる。

サラダにすると、
「あ、春が来たな」
と思います。

この「あ、春が来たな」という感覚、
レシピ本にはなかなか書きにくいのですが、かなり大事です。

料理は、味だけでなく、季節を食べるものでもあります。

新玉ねぎを薄く切って、
少し塩をして、
オリーブオイルやドレッシングをかける。

それだけでも、ちゃんと一品になります。

大げさなことをしなくてもいい。

新玉ねぎは、切っただけで、すでに少し仕事をしています。

台所における、かなり早い段階で頼れるタイプです。


2. 焼くと甘い。しかも、思っている以上に甘い


でも、新玉ねぎは生だけでは終わりません。

焼くと、また違う顔をします。

水分が少し飛んで、
甘みが前に出て、
香ばしさが加わる。

これが、かなりいい。

バターで焼いてもいい。
オリーブオイルで焼いてもいい。
少し塩をするだけでもいい。

焼いた新玉ねぎは、
主張がやさしいのに、ちゃんと記憶に残ります。

料理の中で大声は出さない。

でも、食べ終わったあとに、

「今日、あの新玉ねぎおいしかったね」

と言われるタイプです。

会議ではあまり発言しないのに、
最後に出した資料がいちばん分かりやすかった人。

新玉ねぎには、そういう静かな強さがあります。

焼くと、表面に少し香ばしさが出ます。

中はやわらかくて、甘い。

この甘みが、砂糖の甘さとは違うんです。

野菜が、自分の中から出してくる甘み。

だから重たくない。

新玉ねぎは焼くと、
「ボク、実はこういうこともできます」
と、急に実力を見せてきます。

春の台所には、こういう人がいると助かります。


3. 煮ると、とろける。丸ごとスープは春のごちそう


新玉ねぎの真骨頂は、煮たときにも出ます。

丸ごと煮る。
スープにする。

それだけで、驚くほどやわらかくなります。

鍋の中で、静かに甘くなる。

この表現がいちばん近い気がします。

最初は白くて、少ししゃんとしている。

でも火が入ると、
だんだんやわらかくなって、
スープに甘みが出てくる。

この甘みが、とてもやさしい。

飲んだ瞬間に、
「うまい」より先に、
「ほっとする」
が来る味です。

こういう料理は、派手な映えでは勝負しません。

でも、食べた人の記憶には、意外と長く残ります。

丸ごとの新玉ねぎスープは、
春をそのまま一杯にしたような料理です。

しかも、難しくない。

新玉ねぎを入れて、
出汁やスープで煮る。

それだけで、かなり成立します。

料理って、ときどき不思議です。

いろいろ足しても決まらない日があるのに、
新玉ねぎを丸ごと煮ただけで、すっと決まる日がある。

そういう日は、台所が少し味方してくれた気がします。


4. 春野菜と合わせると、台所が少し整う


新玉ねぎは、単体でもおいしいです。

でも、春野菜と合わせると、さらに良さが出ます。

菜花。
たけのこ。
わらび。
うるい。
青菜。

春の野菜には、少し苦みや香りがあります。

そこに新玉ねぎが入ると、全体がやわらかくまとまります。

苦みを消すのではなく、甘みで支える。

香りを邪魔するのではなく、水分とやさしさで受け止める。

これがいいんです。

新玉ねぎは、春野菜の中でセンターに立って歌い上げるタイプではありません。

むしろ、コーラスにいながら全体の響きを整える名人です。

地味に見えるけれど、かなり大事。

いや、むしろ、そういう存在ほど、いなくなると困るんですよね。

春野菜のおひたしや、炒めものに新玉ねぎが入ると、
皿全体に丸みが出ます。

ちょっと苦い。
ちょっと青い。
ちょっと香る。

そこに新玉ねぎの甘みがあると、
「春って、だいたいこういうことだよね」
という味になります。

だいたいでいいんです。

春の台所は、きっちりしすぎない方が気持ちいい。


5. すき焼きに入れると、急に主役みたいな顔をする


そして、新玉ねぎはすき焼きに入れると急に本気を出します。

すき焼きというと、どうしても牛肉が主役です。

それはそうです。

牛肉は、すき焼き界の看板俳優です。

登場しただけで、場が締まる。

でも、そこに新玉ねぎが入ると、鍋の景色が少し変わります。

透明割下をまとった新玉ねぎは、
甘くて、
やわらかくて、
でも重すぎない。

牛肉の旨みを受け止めながら、
自分の甘みもちゃんと出してくる。

脇役の顔で鍋に入ってきたのに、
途中からかなり主役っぽくなる。

こういう人、います。

控え室では静かだったのに、
本番で急に空気を持っていく人。

新玉ねぎのすき焼きには、そういう強さがあります。

春のすき焼きは、冬のすき焼きとは少し違います。

重たくなりすぎない。

でも、ちゃんとうまい。

新玉ねぎが入ると、すき焼きが春の料理になります。


6. 鶏すき焼きにすると、春の鍋になる


新玉ねぎの良さは、牛だけでは終わりません。

鶏とも相性がいいです。

鶏のやさしい旨み。
春野菜の香り。
新玉ねぎの甘み。

この組み合わせは、重たくなりすぎません。

ちゃんと旨みはある。

でも、食べ心地は軽い。

春の鍋には、この軽さが大事です。

牛すき焼きが少し晴れの日の料理だとしたら、
鶏すき焼きは、少しやさしい春の夜ごはん。

そこに新玉ねぎが入ると、全体がふわっとまとまります。

鶏の旨みを受け止めて、
春野菜をつないで、
最後の出汁までおいしくする。

やっぱり万能選手です。

しかも、シーズン限定で調子がいい。

これはちょっとずるい。

春だけ急に輝く選手。

でも、そういう季節限定の輝きが、食材の楽しいところです。


7. ソムリエのひとこと


新玉ねぎのように、みずみずしくて甘みのある食材には、
白ワインなら、酸がきれいで重すぎないものが合わせやすいです。

たとえば、甲州。

あるいは、ミュスカデのような、すっとした白。

生の新玉ねぎサラダや、やさしいスープには、
軽やかな白が気持ちよく合います。

焼いた新玉ねぎや、すき焼きのように甘みと旨みが前に出る料理なら、
少し丸みのある白や、軽めの赤も面白いです。

大事なのは、新玉ねぎの甘みを邪魔しないこと。

料理がやさしいときは、ワインも少しやさしい方がいい。

食卓でも、声の大きさを合わせるのは大事です。

新玉ねぎが静かに甘いのに、
ワインだけが前のめりで演説を始めると、
食卓が少しざわつきます。

今日は静かにいきましょう。

春ですから。


8. 今回紹介したブログ記事


春の甘さで目が覚める朝|淡路島うしろ農園の新玉ねぎで作る、朝ごはん

https://kunnogohan.jp/?p=3516

淡路島から届いた春。丸ごと新玉ねぎスープは、鍋の中で静かに甘くなる

https://kunnogohan.jp/?p=3480

春野菜 おひたし レシピ|苦くない作り方と紹興酒ダレの黄金比

https://kunnogohan.jp/?p=3465

新玉ねぎのすき焼きレシピ|甘さを引き出す焼き方と透明割下の作り方

https://kunnogohan.jp/?p=3709

牡蠣出汁醤油の春の鶏すき焼き|みつせ鶏と春野菜、〆はセリうどん

https://kunnogohan.jp/?p=3785

ブログ「くんのごはん」では、
実際に作った料理を写真付きでまとめています。

くんのごはん

https://kunnogohan.jp/


9. おわりに|新玉ねぎは、春のうちに食べておきたい


つまり、新玉ねぎは春の台所をだいたい助けてくれます。

生で食べれば、みずみずしい。
焼けば、甘い。
煮れば、とろける。
すき焼きに入れれば、主役みたいな顔をする。

かなり器用です。

しかも、
「ボク、何でもできますよ」
みたいな顔はしない。

あくまで自然に、そこにいる。

それでいて、ちゃんと料理をおいしくしてくれる。

春の台所における新玉ねぎは、
控えめだけど、相当な実力者です。

ボクは料理をしていて、食材に対してよく思います。

この食材は、どうすると一番機嫌がいいんだろう。

新玉ねぎの場合は、答えがひとつではありません。

生でも機嫌がいい。
焼いても機嫌がいい。
煮ても機嫌がいい。
すき焼きに入れても、けっこうご機嫌です。

ただし、ひとつだけ条件があります。

春のうちに食べること。

これです。

新玉ねぎは、春の食材です。

いつまでもあるようで、気づくと季節が進んでいます。

だから見かけたら、少し多めに買ってもいいと思います。

サラダにする。
焼く。
スープにする。
すき焼きに入れる。

それだけで、数日分の食卓が少し楽になります。

台所って、毎日ドラマチックじゃなくていいんです。

むしろ、こういう“ちゃんと助けてくれる食材”がいるだけで、かなり救われる。

新玉ねぎは、まさにそういう食材です。



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新玉ねぎを、
生で食べて、
焼いて、
煮て、
すき焼きにする。

そんなふうに、
ひとつの食材の楽しみ方を少しずつ広げる台所メモを、これからも増やしていきます。

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