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第20話 「前日の電話」

2月13日の夜。

外は静かだった。

恒一は、
居間でテレビを観ていた。

すると――。

「リーン……リーン……」

黒電話が鳴った。

母親が電話に出る。

「はい、村上です」

少し間が空く。

そして――。

「恒一ー!
裕子さんって子から電話だよー!」

恒一の心臓が、
ドクンと鳴る。

(裕子……?)

なんで?

慌てて受話器を受け取る。

少し緊張しながら、
小さめの声で言った。

「……もしもし」

すると、
電話の向こうから。

「あっ、恒一?」

裕子だった。

「あ、うん」

恒一は、
なぜか姿勢を正してしまう。

裕子は、
少し早口で言った。

「明日の放課後、
音楽室の方に来てって頼まれたから連絡した」

一瞬。

頭が真っ白になる。

音楽室。

放課後。

その言葉だけで、
心臓が一気に速くなる。

でも、
恒一は何も聞けなかった。

「……え、あ、うん」

それだけ。

すると裕子は、
少し笑ったような声で。

「じゃあ明日ね」

ガチャ。

電話は切れた。

静かになる。

受話器を持ったまま、
恒一はしばらく動けなかった。

真奈なのか。

違うのか。

何なんだ。

頭の中が、
ぐるぐるしていた。

でも――。

明日、
何かが起きる。

そんな気がしていた。

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