短編小説|水たまりに映る未来/シロクマ文芸部/詩のような物語
水たまりが
雨上がりの道にできていた。
いつもなら避けて通るのに、
その日はなぜか、足を止めた。
のぞき込むと、
そこには空が映っていた。
雲の切れ間からこぼれる光。
電線の細い影。
通り過ぎる風に揺れる、
まだ決まっていない景色。
未来って、
もっと遠くにあるものだと思っていた。
手を伸ばしても届かない場所にあって、
誰かに選ばれた人だけが
たどり着けるものだと思っていた。
でも、水面は
わたしの足元で揺れている。
踏み出せば、壊れてしまう。
立ち止まれば、映り続ける。
それでも、
どちらかを選ばなければ
景色は変わらない。
わたしはそっと、
水たまりの横に足を置いた。
映った空が少しだけ揺れて、
それでも消えずに光っていた。
未来は、壊さないように守るものじゃない。
揺らしながら、
選びながら、
自分の足で近づいていくもの。
雨の匂いが残る道を、
わたしは歩き出す。
まだ乾いていない世界の上で、
新しい空を連れて。
シロクマ文芸部に参加させていただいています。
小牧部長さま、いつもありがとうございます!
今回のお題
「水たまり」から始まる文芸作品です。
【詩のような物語】という、小さな物語たちを紡いでいます。
もし、今日の物語が、あなたの心にふれていたら
──それだけで、うれしいです。ありがとうございます。
これからも、日々の光や影を、そっと言葉にしていきます。
🌸【詩のような物語】🌸
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