語学ができたらキャリアは広がるのか|日本で気づいたこれからのキャリア
「うわぁ…この展開は予想していなかった」
就職活動をするには、もったいないくらいの晴天のなか、東京でスーツに身を包んだ私は意気揚々と面接場所へ向かいました。
結婚後すぐにドイツへ引っ越したものの、再び夫の仕事の関係で日本へ戻ってきた時でした。
3年振りの日本語での生活にぎこちなさを感じながらも、恋しかった日本にまた住めるとあり、わくわくしていました。
久しぶりの仕事探しでは、やや緊張はしていましたが、不思議と不安や心配はありませんでした。
そう、あの瞬間までは。
面接当日
エージェントは通さずに、直接応募をした先からは、募集要項に掲載されていた通り、筆記試験と面接があることを知らされました。
ドイツ関係の仕事なので、ドイツ語が必要でした。
新卒ではないので、筆記試験の部屋にはたったひとり。
部屋に入ると、紙と鉛筆を渡され、問題が書いてあるので、読んでドイツ語で書くように言われました。
もともとドイツ語力はゼロだったのですが、当時、ドイツで語学学校に通い上級試験を突破し、日本へ帰ってきた直後だったので、ある程度の自信はありました。
とは言っても、まだドイツ語で仕事をした経験がなかった時期なので、緊張の糸は張りつめていました。
面接の筆記試験に備えて準備をしていたことが実際の試験で出たので、よかったと胸を撫でおろすと、次の部屋に呼ばれました。
試験官による面接です。
カウンターパンチ
面接室に案内され、通路を進み、面接室の前に着いた瞬間、一瞬固まりました。
なぜなら、その部屋からは日本人ではなくて、ドイツ人が出てきたからです。
日本語を上手に話す、ドイツ人。
その時、ライバルとなる候補者は、日本人だけだと勝手に思っていたのです。
ドイツ語を話せる日本人を探しているのか。
日本語を話せるドイツ人を探しているのか。
ここでは、国籍はまったく関係ないのかもしれない。
日本だから、日本人に強みがあるとは限らないのかもしれない。
その一瞬でいろいろなことが頭を駆け巡りました。
もし候補者が全員同じ言語を話せるとしたら
その数年後、夫の仕事の関係で再びドイツへ引っ越しました。
今度は、ドイツで面接を受ける機会がありました。
必要なのは、ドイツ語と英語。
もうこうなると、国籍は本当に関係がなくなっていました。
働けるビザがあり、募集要項の条件を満たしていれば、みなが同じ土俵の上にいることになります。
すると採用側が見る基準は変わります。
専門性。
コミュニケーション能力。
問題を解決する能力。
柔軟性や協調性。
雰囲気。
人柄 など。
語学はキャリアを広げるのか
「語学ができればキャリアは広がるのか」
私は、語学を中心に生きてきたので、この問いには何度もぶつかっています。
そして、ここには時代による変化を感じられずにはいられません。
例えば、駐在員。
以前なら、海外から専門性を持った人材を駐在員として受け入れていた仕事でも、今では、専門性を持った外国人が日本にいるので、ローカル採用するケースも増えていると聞きました。
それも、1つの企業からではなく、複数の企業からです。
日本で仕事を探すにも、候補者は日本人だけではなくなってきている現状。
それを踏まえた場合、語学ができたらキャリアが広がるのではなく、語学ができないとハンデになるかもしれないという構造ができつつあるのではないかと感じました。
人材がグローバル化されているなら、今度は、ビジネスでよく用いられている英語は操れて当然という世界にもなり得るのです。
しかし、ここで注目したいのは、それでは実際に海外では、どのようなスキルを持った日本の方が働いているかということです。
語学と専門性。
どちらが必要になるのでしょうか。
未来を見つめる目
「海外で仕事をするには、何をすればいいですか?」
目をキラキラさせた学生に、このような質問をよく受けます。
昔は回答に困りましたが、今ではこう答えます。
「語学力だけじゃなくて、専門性も磨いた方がいいかもしれないですよ」
この質問に答える度に、語学とキャリアは、そんなに単純な話ではないのかもしれないと思うのです。
ただ、ドイツでお会いした日本人の方々を思い起こすと、専門性を持って海外へ来て、必要な語学を後から身につけている人も少なくありません。
「語学ができたら、キャリアは広がるのか」
その答えは、きっと「語学だけではない」のだと思います。
語学以外に何ができるのか。
そして、それをどの言語で、どこで、誰のために活かすのか。
いくつもの言語を話せることが当たり前のようなベルリンで、語学とキャリアについて考えた夜でした。

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