子どもの睡眠と食習慣はどう関係するのか——食事リズムと睡眠の話
統合的レビュー(24件)が示す知見から考える
「なかなか寝つかない」「朝起きられない」——子どもの睡眠の悩みを抱える保護者は少なくありません。実は、食事と睡眠は想像以上に密接につながっています。
この問題について、Hermes et al.(2022)による24件の研究を対象とした統合的レビューが参考になります。結論から言えば、短時間睡眠(9〜10時間未満)は子どもの過体重・肥満と関連(16件中13件)という傾向が報告されています。ただし、この結論にはいくつかの重要な留意点があります。研究の背景、限界、そして今日からできることを、順を追って見ていきましょう。
子どもの睡眠と食習慣はどう関係するのか——研究が示す傾向
短時間睡眠(9〜10時間未満)は子どもの過体重・肥満と関連(16件中13件)。この割合は対象となった研究集団での結果であり、日本のお子さんにそのまま当てはまるとは限りません。しかし、無視できない規模の傾向であることは確かです。保育の現場でもこの傾向と重なる観察をすることがあり、研究の数値が現場の感覚と一致する部分です。
短時間睡眠は食事の質の低下、就寝前の清涼飲料水・刺激性飲料の摂取増加と関連。「関連がある」とは「原因と結果が確定した」という意味ではありません。しかし、複数の研究で繰り返し報告されている傾向は、偶然の一致とは考えにくく、何らかの生物学的・社会的なつながりがあることを示唆しています。
保育園では、午後の活動に入る頃に急にぐずったり、集中力が切れたりする子どもが見られます。夜の睡眠や昼食の内容が影響していることもありますが、食事のリズムと睡眠のリズムが連動していることを実感する場面です。
研究の詳細——何がどこまで分かっているか
この知見はHermes et al.(2022)による24件の研究を対象とした統合的レビューで報告されたものです。統合的レビュー(24件)という研究手法は、個別の研究よりも広い視点からエビデンスを整理するもので、一定の信頼性があります。
結果①鉄欠乏・貧血は睡眠時間の短縮と睡眠の断片化に関連。
結果②遅い就寝時刻は体重増加、身長低下、腹囲増加と関連。
先に述べたように「関連がある」とは「原因と結果が確定した」という意味ではありません。繰り返しとなりますが、日常生活に取り入れる際には、「可能性の一つ」として参考にするのが適切な姿勢です。
日常の中での実践としては、食事の時間を一定にすることが最も取り組みやすい対策です。特に夕食の時間帯を安定させることが、睡眠リズムの改善につながる可能性があります。
この研究を読むときに知っておきたいこと
これらの知見を読む際には、いくつかの重要な注意点があります。
レビューでメタ分析(数値的な解析)なし、ほぼ全て横断研究、睡眠はほぼ全て質問紙で測定など。
また、この研究は海外で行われたものが中心です。日本の食文化——米を中心とした食事、味噌汁や漬物といった発酵食品が日常に組み込まれた食生活——は欧米とは大きく異なります。研究結果をそのまま日本の家庭に当てはめるには慎重さが必要です。
個人差も非常に大きく、同じ環境で育った兄弟でも食行動は異なります。すべてのお子さんに同じ傾向が当てはまるわけではありません。研究は「傾向」を示すものであり、目の前のお子さんの姿を見ることが最も大切です。お子さんのペースを大切にしてください。
今日からできること
1. 夕食の時間をできるだけ一定にする。食事のリズムが体内時計のリズムを整える手がかりになります。
2. 就寝前の2時間は高カロリーの食事を避ける。軽い間食程度であれば問題ありません。
3. 夕食に食物繊維や野菜を意識的に取り入れてみる。消化に時間がかかる食事は睡眠の質に関わる可能性があります。
4. カフェインを含む飲料(お茶・炭酸飲料)に注意する。大人が気にならない量でも、子どもには影響することがあります。
食事と睡眠の関係は双方向です。良い食事が良い睡眠を支え、良い睡眠が翌日の食欲と食行動を支える。この好循環を少しずつ作っていくことが大切です。
Hermes FN, Nunes EEM, de Melo CM. Sleep, nutritional status and eating behavior in children: a review study. Rev Paul Pediatr. 2022;40:e2020479.
※ 本記事は国際的な研究知見と保育現場の経験をもとにした一般的な情報提供です。個人差があり、すべてのお子さんに当てはまるものではありません。お子さんの健康や発育に関するご不安は、かかりつけの医師・専門家にご相談ください。情報は投稿時点のものであり、新しい研究によって見解が変わる場合があります。
