幼馴染はじめました|毎週ショートショート作品
こちらに参加させて頂きました。
「明日から幼馴染の練習するわよ!」
カニ子は腕を組み真面目な顔で言った。
「……練習するの?」
「幼馴染はね食パン咥えて角でぶつかるとこから始まるの、だからあそこの魚屋さんの角よ、反対側から来て」
「家、隣なのに?」
カニ子の強い眼差しで僕は遠回りさせられて学校へ向うことになった。
魚屋のおじさんに挨拶して、僕の胸のドキドキは高まっていった。
あの角でカニ子は僕に突っ込んでくる。
絶対、ホンキで……。
カニ子と触れ合う緊張より恐怖の方が大きい。
だけど、手を抜いてカニ子を怒らせるのはもっと怖い。
僕は覚悟を決め角に立った。
食パンを咥えたカニ子が猛ダッシュして来るのが見えた。
「う、うわーーっ!」
ドーーンッ!!
カニ子をなんとか受け止めた僕はゆっくりと目を開けた。
薄目のカニ子の顔が近い。
「だ、大丈夫か?」
「まあ、こんなものかな幼馴染はじめとしては…」
カニ子は僕に抱き抱えられながら恥ずかしげに呟いた。
「またやるのかい?」
魚屋のおじさんが笑っていた。
(了)
