帰って来たポチ|毎週ショートショート「迎え火オペラ」作品
こちらに参加させて頂きました。
お盆になると毎年、おじいちゃんの家に行く。
親戚の人達も集まって来ていていつも賑やかになる、広い庭でいとこ達と遊ぶのが楽しかった。
でも今年はちょっと寂しい。
ポチがいないからだ。
「じいちゃん、ポチ、帰って来るかな?」
迎え火が焚かれた門で、赤い火がパチパチと爆ぜていた。
「来るじゃろ、お前達が集まっとるんだから」
夜風が少し強い、月明かりに雲が速く流れている。
「アー、アッアッアッアッア、アアー!」
「な、何だ? おばぁちゃん?」
突然聞こえてきたキンキン声にびっくりする。
「あー、ばあさんな、最近見たオペラにハマっとるんだ。 『夜の女王のアリア』とか怖すぎじゃ、ポチも呆れるわ」
夜風が迎え火を煽った。
一際赤く炎が上がり、火の粉が舞う。
白い煙のなか、それは夜空に一瞬の絵を描いた。
「どうやら、帰って来たようだな⋯⋯」
「あっ!」
火の粉はポチの姿を描いた。
吹き抜けた風が「ワン!」と吠えた。
(了)
