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004 |ふと、風に乗って届いたメッセージ【夜ふかしアトリエ】

森の昼下がり。
風が木々の間をすり抜け、葉っぱがさらさらと揺れている。


ずきんちゃんは、いつものように小道の端っこを歩いていた。今日は、なんだか頭が重い。心の中がもやもやと霧がかったようで、考えたいのに、うまく言葉にならない。



「……なんか、つかれてるのかな」
そう呟いて、森の大きな木の陰に座り込んだ。




遠くで妖精たちの笑い声、
木の実を拾う音、鳥のさえずり。
いつもなら気にならない、
それどころか
“ノイズ”みたいに聞き流しているはずの音が、
今日はなぜか、心の奥に触れてくる。


とくに――
「だいじょうぶ、だいじょうぶって。
なんとかなるってばー!」
どこかでこぐまたちが叫んでいる声。



その一言が、ずきんちゃんの胸にすとんと落ちた。
「……なんとかなる、か。」



ぼそっとつぶやいたとき、背後から木漏れ日をまとったミラが現れた。


「その言葉、今日は届いたみたいだね。」


ずきんちゃんが振り返ると、
ミラは微笑みながら小さな手鏡を差し出した。



「ふだんは通り過ぎちゃう音も、心の窓が少し開いたときだけ、するりと入ってくる。
たぶん、ずきんちゃんの中に『その言葉を探していた』部分があったんだよ。」


ミラの鏡に映ったホッとした表情を見ながら
「……自分でも、気づいてなかったかも。」と呟いた。


ミラはやさしく続けた。
「言葉って、自分が準備できてないときは、
ただの音なんだよね。
でも、心がちょっと疲れてたり、
立ち止まってたりすると――
ふと、必要な言葉だけが、
メッセージとして聞こえることがあるの。」

「ふしぎだね……」

「ふふ。森って、そういうふうにできてるのかもしれない。」


ふたりは木の陰でしばらく黙って、
風に揺れる葉の音に耳を澄ませた。



その日、ずきんちゃんは
「問いを解く答え」を探すのではなく、
ただ「届いた言葉」を抱きしめながら、
静かな午後を過ごした。


それはまるで、
“問いが問いのままでも、そっと癒されていく”ような時間だった――。


©Chocodori / ©Yofukashi Atelier

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