【書評】お金と向き合う原点の一冊。山崎元・大橋弘祐著『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』
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はじめに
「お金について学びたい。でも、何から手をつければいいのかわからない」
多くの人がそう感じながら、最初の一歩を踏み出せずにいるのではないでしょうか。専門書は難解で、情報はあまりに断片的。そんな途方に暮れる私たちに、優しく、そして力強く手を差し伸べてくれるのが、本書『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』です。
上記のリンクのように本書には2024年から始まった新NISA制度に対応した改訂版も刊行されています。残念ながら私の手元にあるのは2015年のものなのでそちらでの書評となります。ご容赦下さい。
50万部を超えるベストセラーであり、今なお多くの人に読み継がれる本書は、昨年惜しまれつつも逝去された経済評論家・山崎元氏と、編集者である大橋弘祐氏の共著です。金融のプロと完全な素人、二人の対話から生まれる本書は、すべての初心者のための「お金の教養書」と言えるでしょう。
対話形式がもたらす、圧倒的な「わかりやすさ」
本書の最大の魅力は、その形式にあります。金融の素人である大橋氏が抱く素朴な疑問に、プロである山崎氏が答えていく。この徹底した会話形式が、読者の心理的なハードルを劇的に下げています。
専門用語の応酬ではなく、私たち誰もが心に思い浮かべるような「そもそも、なぜ?」「それって、どういうこと?」という問いから出発するため、知識ゼロの状態からでも、つまずくことなく読み進めることができます。
そして、その対話を彩るのが、山崎氏ならではのストレートな言葉の数々です。
「お金を正しく運用したかったら、銀行には近づかないほうがいい」
「競馬は勉強になる」
「君みたいなタイプは銀行の奴隷になるよ」
これらは一見過激に聞こえるかもしれませんが、本質を突くための明快なメッセージです。複雑な金融の世界で初心者を迷わせないように、という著者の強い意志と配慮が感じられます。
「増やす」だけでなく「使う」まで網羅する守備範囲
本書は単なる投資入門書ではありません。「お金の増やし方」だけでなく、「賢いお金の使い方」として、多くの人が悩む住宅ローンや生命保険といったテーマについても、明快な指針を提示しています。
さらに、旧NISAやiDeCo(確定拠出年金)といった、資産形成に不可欠な制度の仕組みと始め方まで、広く薄く、しかし要点を押さえて解説されています。この一冊で、現代社会を生きる上で必要なお金の基礎知識が、バランスよく身につく構成は見事です。
一読者としての所感
本書の読みやすさと網羅性は、間違いなく素晴らしいものです。一方で、山崎氏の他の著作や発言に触れてきた者としては、本書の語り口は彼の真骨頂である「毒舌」が、読者のためにややマイルドに調整されているようにも感じました。
また、金融業界に身を置く者として、一部の断定的な主張には異なる視点を持つ部分もありました。しかし、それらを差し引いてもなお、本書が持つ「初心者を絶対に迷わせない」という一点突破の潔さとわかりやすさは、他に代えがたい大きな価値であると断言できます。
総括:すべての「元・初心者」から、未来の投資家へ
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』は、お金の勉強を始めるための、これ以上ない入り口です。過去に専門書で挫折した経験のある方や、情報が多すぎて何から手をつければ良いかわからない方にこそ、お勧めしたい一冊です。
なお、本書には2024年から始まった新NISA制度に対応した改訂版も刊行されています。時代の変化に合わせたアップデートがなされているとのこと、こちらも拝読の上、改めて書評をお届けしたいと考えています。
関連書籍
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