バロックパールのイヤリング One More Note
みなさんは、なぜか惹かれてしまうもの、
集めたくなってしまうもの、ありますか?
私は昔からパールが好きだったのですが、
あるとき、バロックパールに出会ってからというもの、
ちょっと個性的な形のものや、カラフルな色のものに惹かれるようになりました。
「バロック」といえば、
音楽史にも「バロック」と呼ばれる時代があります。
バッハ、ヴィヴァルディ、ヘンデル。
クラシックに詳しくなくても、一度は耳にしたことがある名前かもしれません。
でも、
私はずっと腑に落ちないことがありました。
「歪んだ真珠」が語源と言われる「バロック」ですが、
バッハのように緻密で整った音楽が、
なぜ「歪んだ真珠」なのだろう?と。
そこで、改めて「バロック」の音楽について、調べてみることにしました。
今までの「バロック音楽」のイメージ
今まで私がもっていたイメージは、
・バロックといえば、バッハ!
・ストラディバリウスなど、楽器が発展した時代
というようなもの。
バッハのインベンションがピアノの課題で出たときは、なんだか難しくて弾きにくいし、
コンサートで耳にする機会も、
ベートーヴェンやモーツァルト、ショパンといった古典派以降の曲が多く、
いまいち「バロック」についてよくわかっていなかったのです。
調べてみると、
「バロック」と呼ばれる時代は、17世紀初頭から18世紀半ば頃まで。
絶対王政のもと、王様や貴族が大きな権力をもっていた時代でもありました。
ヴェルサイユ宮殿に代表されるような、華やかで、装飾の多い建築や美術。
王侯貴族が、自分たちの権力や財力を示すように、豪華で華やかなものを求めた時代です。
こうした建築物や美術をはじめとする芸術を、後の時代の人々が「バロック」と呼ぶようになりました。
なるほど。
豪華で、装飾的で、
ちょっとやりすぎなくらい華やか。
それまでの整った美しさとは違う、
「ちょっと歪んだ美しさ」
そう考えると、「バロック」という言葉も、なんとなくわかる気がします。
音楽ではどうだったのでしょうか。
バロック以前のルネサンス音楽では、
複数の旋律がそれぞれ独立して動く「ポリフォニー」の音楽が盛んでした。
たとえば、何人もの人がそれぞれ違うメロディを歌いながら、
それが重なり合って一つの音楽になっていく。
それぞれのパートが対等で、
全体として調和している音楽です。
ところが、ルネサンスの終わり頃から、
一つの旋律を主役として、ほかのパートがそれを支えるような「ホモフォニー」の音楽が発展していきます。
複数の旋律が均等に絡み合う音楽から、
「ここを聴いて!」という主役がはっきりした音楽へ。
そして、こうした変化を含め、
バロック期には、より劇的な感情表現や、強いコントラストを生み出すための、さまざまな音楽表現が発展していきました。
オペラや協奏曲が大きく発展したのも、この時代です。
ヴィヴァルディの「春」も、バロック期の協奏曲として有名ですね。
「通奏低音」という伴奏のつけ方も、バロック音楽の大きな特徴のひとつです。
ここまで調べて、
私は、「バロック」という言葉の意味が少しわかったような気がしました。
それまでの「みんなが均等に調和する」音楽に対して、
「このメロディを聴かせたい!」
と、主役が前に出てくる。
もちろん、それだけがバロック音楽というわけではありません。
でも、整った円のようなものから、少し外側にはみ出していく。
そう考えると、「歪んだ真珠」という言葉も、
なんとなく腑に落ちました。
じゃあ、バッハは?
バッハといえば、
インベンションやフーガなど、複数の旋律が複雑に絡み合う、高度な対位法を使った音楽。
「このメロディが主役!」というより、
それぞれの旋律が複雑に絡み合いながら、緻密な構造を作っています。
しかもバッハは、当時ヨーロッパで大きく発展したオペラを作っていません。
あれ?
今見えてきた「バロック」と、
バッハの音楽って、ちょっと違うんじゃない?
もちろん、
バッハもまぎれもなくバロック時代を代表する作曲家です。
ただ、調べてみると、
バロック音楽は、イタリア、フランス、ドイツなど、地域によっても違い、
私が思っていたほど単純なものではありませんでした。
「バロック」と一口に言っても、みんなが同じ流れの中にあったわけではなかったのです。
それなら、
「バッハの音楽はこんなに緻密で整っているのに、どうして“歪んだ真珠”なの?」
という最初の疑問も、少しわかる気がします。
バロックというのは、
「この音楽は歪んでいる」という意味でつけられた名前ではなく、
後の時代の人々が、17~18世紀頃のさまざまな芸術をまとめて呼んだ言葉。
その中には、華やかで、装飾的で、感情表現豊かな音楽もあれば、
バッハのように、複雑で緻密な音楽もある。
そして、ふと考えました。
私が好きなバロックパールも、ひとつひとつ形が違います。
まん丸ではなかったり、
少し歪んでいたり、
思いがけない色や表情をしていたり。
でも、その「整いすぎていないところ」に、
私は惹かれているのかもしれません。
バロックパールをきっかけに、改めて知った「バロック音楽」。
知っているようで、実はよく知らなかった「バロック」のことを調べてみたら、
パールも音楽も、前よりもっと好きになれた気がします。

