夏野菜の揚げ浸し
わたしは夏野菜が好きです。
茄子、ピーマン、パプリカ、オクラ。
作り置きをする日は、これらをまとめて揚げ浸しにすることがよくあります。
油を吸った茄子と、少し苦みの残るピーマン。オクラは揚げる前に穴を開けておかないと危ない。
夏の台所は暑いので、揚げ物にはあまり向いていません。
それでも夏野菜は揚げたくなります。
今日は久しぶりに時間があったので、作り置きをしようと思いました。
冷蔵庫を開けると、昨日買った野菜が並んでいます。
茄子。
ピーマン。
オクラ。
かぼちゃ。
頭の中は、すっかり揚げ浸しでした。
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昨日、買い物へ行こうと外へ出たところで、空気が涼しくなっていることに気がつきました。
何度か気が付いてはいたけれど、ようやく肌がそれを知覚しました。
正確には、まだ少し暑いのかもしれません。ただ、夏の暑さではありませんでした。
少し前まで、玄関を出るだけで空気がまとわりついてきました。
最近は風が通ります。
日差しは明るいのに、日陰へ入るとちゃんと涼しい。
歩いている人の中には長袖も混じっています。
そこで急に、
夏が終わったんだ。
と思いました。
九月に入ったことは知っていました。
日が短くなったことにも気づいていました。
ついに実感がそれに追いついたとき、少しの寂しさもついてきたようです。
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ある日まで夏で、その翌日から秋。
それくらいわかりやすい合図があったって良いのに。
実際には、夏野菜を買いに出た人が、道の途中で勝手に気づきます。
街路樹はまだ青く、蝉の声も完全には消えていません。
スーパーへ行けば、茄子もピーマンもオクラも並んでいます。
夏が終わった証拠は、どこにもありません。
ただ、揚げ浸しを作ろうとして歩いているわたしだけが、少し季節外れに見えました。
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売り場で、予定どおり夏野菜を買いました。
夏が終わったと理解することと、今日の献立を変更することは別の話です。
今日、冷蔵庫から昨日買った夏野菜を取り出しました。
茄子を切り、ピーマンの種を取ります。
油の音も、出汁の匂いも、いつもと同じです。
できあがった揚げ浸しを保存容器へ詰めて、粗熱が取れるのを待ちました。
今年最後の夏野菜になるのでしょうか。
たぶん、そうでもない気がします。
夏の終わりを理解した翌日に、夏野菜の作り置きをしました。
季節より、冷蔵庫の中身のほうが少し遅れて変わっていくようです。
