家族でいられる時間は、思っていたより短い
保育園の入り口にある、ガラガラーっと開く鉄の扉。
そのすぐ裏で、次女は縄跳びをして待っている。
来る日も来る日も。
ママが、そこから入ってくる。
一番最初に会える場所。
だから、縄跳びをして待っている。
「今日はね、200回やったよ」
「今日は300回やったよ」
そんな報告をしてくれる。
なんて幸せなんだろう。
でも、もう少し早く迎えに行かないと、倒れちゃうよ。
職場の60代の男性が、笑いながら言った。
「子どもはね、3歳までに一生分の親孝行をしてくれるんだよ」
そのあとは、親不孝をするんだ、と。
親孝行。
私の体感では、3歳までというより、小学校高学年くらいまでだったような気がする。
中学、高校のあの凄まじい反抗期を思えば、確かにそうなのかもしれない。
長女は、しゃべらなくなる。
次女は、脱走する。
そして、もうひとつ。
「家族で出かけられる時間は、思っていたより短いんだ」
中学生になると、部活がある。
友達と遊びに行く。
少しずつ、家族より外の世界が大きくなっていく。
あの頃、私はその話を聞いて、大慌てで旅行に出かけた。
家族でいられる時間を、たくさん作った。
あちこちに出かけた。
一緒にごはんを食べて、一緒に笑って、一緒に帰ってきた。
今思う。
あの人の言っていたことは、本当だった。
子どもが親孝行をする期間が短い、というより、
家族でいられる時間そのものが、思っていたよりずっと短かったのだ。
だから、あの縄跳びをして待っていた次女を思い出す。
200回、300回と跳びながら、
ママが来るのを待っていた。
あんな時間が、ずっと続くものだと思っていた。
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