咲く花も咲かない花も愛おしい💐🌱(育てるということ)
雨の中を歩いた
線路沿いに咲く
健気な朝顔を見ながら

雨は朝顔をいっそうみずみずしく
艶やかに見せた
一日しか咲かない命を
美しく、惜しげもなく輝かせながら

ふっと我が家の朝顔を思い浮かべた
まだ花を咲かせていない
もしかしたら今年は咲かないかもしれない
5月に種を撒いて
僅か4日後に芽を出した
早熟な朝顔
ぐんぐん背丈だけ伸ばして
たくさんの葉っぱと蔓と小さな蕾を実らせた
それはそれで
自然の理にかなっていたが
最後に出現する“開花”のためのエネルギーを残してあげなかった

活性剤(リン酸)を土に埋めたり
日中は太陽の光をしっかり浴びさせ
夜間真っ暗な時間を長くしたり
摘心をしたりして
開花を促したが
一向に蕾は膨らまず
花が咲く気配がない
“もしかしたら開花したくないのかも”
青々と茂る葉っぱを見ながら
花は咲くという行為を諦めて
永い眠りについたように思った

線路脇に咲いた朝顔を見るうちに
『代わりに咲く』という言葉が浮かんだ
この朝顔は野球の代打のように
私の家の朝顔の代わりに咲いてくれているのかも
“ある者が不調で役目を果たせない時
代わりにその役目を果たしてくれる”
そんな役割があるのかもしれない
人にも
花にも
私は今日もせっせと
咲かない花に水をあげる
🪴🌱💧🪴🌱💧🪴🌱💧🪴🌱💧🪴
娘にその話をしたら
学校の庭に咲いている
児童たちが育てている
元気な朝顔の写真を送ってくれた

それは子どもたちのはじける笑顔のようで
私の朝顔とは違い
生きるエネルギーに満ち溢れた花だった
決して咲くことを諦めない
未来への希望に満ち溢れた
眩い命の花だった
この朝顔たちに代打はいらない
子どもたちには
弾ける笑顔で
夏の光の中で
のびやかに、元気いっぱいに育ち
ワクワクするような未知の出来事に出逢い
たくさんの人に愛されて
充実した毎日を過ごして欲しい
祈りに似た思いが
胸に溢れた
2026年 初夏
たしかなこと 小田和正

たしかなこと 小田和正
