見出し画像

ノリで文学フリマに行ったら、ノリ以上のものを持って帰ってきた|読書の外側について

5/4、文学フリマに初めて行ってきた。ほぼ飛び入りで。
「最近、本が読めない」という話をよく聞く。忙しいから、という理由もあるけど、動画や要約コンテンツに慣れてしまって、本を開く前に力尽きる感覚、わかる人もいるんじゃないかと思う。
文学フリマはそれとは逆方向の体験だった。本そのものだけじゃなく、作者の雰囲気、熱量、その場の空気まで含めて「本と出会う」場所。読書体験が凝縮されるんじゃなくて、体験を拡張する感じ。 初めて行く予定の人に向けて、当日の様子を振り返ってみる。


①行くことになった背景

きっかけは気になっていたゲンロンyが文学フリマへ出店するというポストをみたので、ここ目的で軽く見て回るか~という軽い気持ちで前日に参加を決めた。

普段は哲学系・短歌系を読むことが多いため、目標も「このあたりの本も見つけられたらな~」くらいしか考えておらず、正直あまり深く考えていなかった。
結局ゲンロンの本を買った後、1階・2階フロアともに全体を歩き回ること2時間半。短歌・エッセイ・小説を6冊買って大満足して、気づいたらりんかい線に乗り込んでいた。


②当日準備したもの

当日の準備はほぼゼロ。唯一やったのは、Xで「前売りチケットのほうが安いよ」というポストをみたので、前日の夜にベッドの上で購入した。あと手ぶらはやめたほうがいいというポストもみたので、リュックを出しておいた。
会場の下調べもゲンロンのブース位置だけ見て、そのほかのリストアップも、何もしていない。今思うと文学フリマガチ勢の人がいたら、500ページくらいの書籍の角で殴られそうだが、完全に行き当たりばったりで乗り込んだ。

③現地到着

会場についたのは大体開場から1時間ほどたったころ。当日は東方・カードゲームのイベントも別でやっていたようだったが、文学フリマの列が圧倒的に長かった。ただ、人の流れは思ったよりスムーズで、10分程度で入場できた。

人多すぎてよくわからなかった


到着して感じた一言は、「人が多すぎてよくわからない」。コミケといった即売会や、リアルイベントにあまり参加をしたことがないので、これが普通なのかもしれないが、人の多さに圧倒された。

加えて、文学という言葉にここまで人が集まるんだな、とも感じていた。個人的に読書というと、哲学書みたいな小難しい本か、ビジネス書・自己啓発書といった商業全振りマン、あとは古典文学みたいな三すくみのイメージを勝手に持っていた。
※ビジネス書とか自己啓発書好きな人ごめんね

「小学生が書いた本!」という親子連れが笑顔で対応しているブースの後ろに、本格ミステリを何とか広めようとして、熱心に声をかける妙齢の男女がいた。心の絶叫を和紙に書きなぐってるブースもあれば、かわいい雑貨と一緒に、手製で作られたであろう小さな詩集を売っているブースもある。そしてなぜか、グラビアアイドルらしき方が自身のDVDも売っていた。

【文学フリマの理念】
文学フリマは〈文学〉のための公共的な「場」となることを目指しています。その意味するところは、文学フリマが送り手と受け手の媒介物メディアとなって、〈文学〉に携わるすべての人々が〈文学〉の可能性を担う存在として平等な立場で関わり合い、多様で柔軟な〈文学〉が言葉を紡ぐ、開かれた「場」になるということです。そのため文学フリマには、プロ・アマを問わず、また個人・団体・法人を問わず出店できます。また、作品内容について審査を課すことはありません。さらに、開催地における文化の担い手たちの背中を押せるような場となることを目指します。

たった今〈文学〉を必要としている人々、あるいは今後〈文学〉を求めるであろう人々のために、読者や作者の垣根を越えて、まだ見ぬ〈文学〉と向かい合ってみたいというみなさんの参加をお待ちしています。

文学フリマのルール https://bunfree.net/rules/general/#idea


文学フリマの理念は、『〈文学〉の可能性を担う存在として平等な立場で関わり合い、多様で柔軟な〈文学〉が言葉を紡ぐ、開かれた「場」になるということ』らしい。
作られた平等ではなく、言葉通りの平等が、理念通りの場所が、本当に存在していた。

④よかったところ-1  作者をみれる

前述したとおり、個人的な文学フリマの良さの一つは、読書体験の拡張だと考えている。そのうえで「この本ってどういう人が書いてるんだろう」というのがダイレクトに見れるのはとても良い。
個人的に、作者の前で立ち読みをするという状況に緊張してしまった。「ここいいですね!」とか声をかける余裕はなかった。
でも、そういうことができる場というのは、普段の読書体験ではまず不可能だし、どうしても文章だと伝わり切らないところが出てしまうので、お互いにとてもよい空間なんだろうと感じた。

また、購入するという面でも意外と人の雰囲気をみて購入を決定するケースもあった。見本で見つけた本のブースに言ったら、想像と違う人物が作者だった、ということも多々あった。これも楽しかった。 ※ただの売り子だった説はぬぐい切れない。

1点、これは文学フリマ玄人の方に教えてほしいのだが、立ち読みしているときに作者の方にじっと見られているときは、どうすればよかったのだろうか。短歌を出されているブースで立ち読みをした際に、この状況に陥ってしまった。私も何を言えばいいかわからなかったのだが、多分作者から見たときに、「難しい顔して立ち読みして、言葉少なく本を買っていた謎の男」だっただろう。
(ちなみに短歌集と、ついてきたポストカードがめっちゃよかったです。買ってよかった。)

買った短歌ともらったポストカード かわいい


⑤よかったところ-2 ジャンルの幅広さ

こちらも前述したが、ジャンルの幅広さにも驚いた。過去に参加したことがないので、基準が分からないのだが、エッセイ系が非常に多かったのが印象的だった。

ネットでの購入とリアル書店での対比でもよく言われていることだが、やはりリアルでの購入というのは、偶然性に大きな価値があると思う。今まで見たことがないジャンルだが、ポップが面白そう。なんだか目を引く表紙。書店一押しと書かれてる分厚い学術書。書店でもこのような経験があるが、文学フリマの場合は加えて、その偶然性を極限にまで拡大していると感じた。書店の場合は、あくまでもそこの意向に従うはず。ただし文学フリマの場合は、参加者だけその多様性がでてくるので、この経験も代えがたいものだなと思った。

ちなみにエッセイは、マンション購入記なるものを1冊購入させていただいた。「家のことばかり考えている」という題名の書籍だったが、考えて突き詰めた結果、その思考が現時点でマンション購入に縁もゆかりもない男にまで届いている。手元に置きながら、今後の私の人生を(強制的に)考えている。書籍って素晴らしい。😂

⑥むずかしかったところ ジャンルが多い故の事前準備の必要性

これは⑤の裏返しでもあるが、どのブースに回るかは事前に当たりをつけておく必要があった。一からすべて見ようとすると、かなりの体力勝負になる。私自身は、すべてのブースは見れていないものの、かなりの歩数が必要だった。

見本ブースがあったので、そこである程度あたりをつけることができる。が、事前にどのジャンルを中心に回るか・気になる作者はどこにいるかは確認しておいたほうがいいと思う。これは当日の自分に反省を込めてですね。
これは後から気づいたのだが、Xで作者の方が告知していたり、特定のジャンルがどの辺に固まっているかを事前に教えてくれている方もいらっしゃったので、初参加の人は特に見ておくとよいなと思った。

⑦余談:エッセイと熱量

前述もしてましたが、エッセイ系の出展が体感としてかなり多かった。エッセイが好きな人には最高だと思うが、意外と批評系が少ないんだな、とびっくりした。 もちろん、ジャンルすべてを均等に出すことは無理だと思うし、偏りがあっても全く問題がないと思う。
ある意味出展ジャンルの制限をかけることは、理念と反することだと思うので、この辺りは今後が楽しみです。

付随して、エッセイ系のブースを見ていて、意外とシンプルなテーマで書かれているものが多いなと感じた。いわゆるパンチのあるテーマで書かれているものだけでなく、マンション購入のお話のように、日常生活をベースに書かれているものがたくさんあった。

それ自体を毀損したいわけではない。個人的に、日常生活を不特定多数に読んでもらう、見てもらうということにハードルを感じている。そういった心情を持つ方もいらっしゃると思うのだが、それを超える熱量がこの文学フリマにはあるのだろう、とブースを歩き回りながら考えていた。私にその熱量をいつか持てる日が来るのだろうか。

⑦おわりに

ノリで行ったが、いろんなものを持ち帰ってきた。
本そのものだけじゃなくて、「読書」の外側にある体験を見せてくれる場なんだなと感じた。初参加を迷っている人がいたら、いったん行ってみてほしい。事前準備だけはすこししようね。

この絵かわいいよね

出典

お名前や写真を出した方々の作品は(たぶん)以下からご覧いただけます!とてもよかったのでご興味あれば皆様ぜひ!

・家のことばかり考えている(おやつ様)

・正気(短歌集)


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集