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【エッセイ】夜店から シロクマ文芸部

 「夜店から」というお題を見て、ふと思い出したのは、小学生の夏に買った「得体の知れない軟膏」のことだ。

人混みと熱気の中、一際目を引くテキヤさんの実演。

ナイフで自らの手を切りつけ、そこに塗って見せる不思議なクリーム(タイガーバームやメンソレータムを思わせる、佇まい)。

当時の私はその迫力にすっかり呑まれ、「すごい薬なんだ」と信じてなけなしのお小遣いをはたいた。決して安くはなかったはずだ。

結局、使う機会もないままいつの間にか失くしてしまった、あの怪しげな軟膏。

今思えばあれは一体何だったのだろう。傷口のトリックだったのか、それとも…。

正体はわからないけれど、あの夏の日の高揚感ごと、私は小さな軟膏を買い取ったのかもしれない。



※小牧部長、どうぞよろしくお願いします。


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