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「比較優位」とは何か

  経済学を学んでいく過程で躓きやすい用語を解説したいと思います。特に比較優位はミクロ経済学の核心的な部分なので、最初はこの解説にしたいと思います。解説では専門用語を使う場合はあらかじめ説明します。それでは解説に移りたいと思います。

 まず、機会費用とは「選ばなかった最善の選択肢の利益」のことです。自給自足をしているとき、x財を生産する際の機会費用とは、その生産に使った資源をもしy財の生産に使っていたら得られたy財の量のことを指します。つまり、「x財を選ばなければ得られた最善の選択肢の利益(y財の量)」が機会費用になります。

 では、自給自足をやめて他者と財の交換を始めたとしましょう。このとき、交換相手がx財を1単位生産するために失うy財の量(=機会費用)が、自分よりも大きいとします。(少ない場合でも、xとyを入れ替えれば同様のことが成立しますので問題ありません)すなわち、自分の方がx財の生産における機会費用が低いという状況です。

 このとき、自分がx財を生産して交換相手に渡し、相手がx財の生産をやめてその分y財を生産するようになれば、相手はより多くのy財を生産できるようになります。これは、相手のx財に対する機会費用が高い、すなわち相手がx財を生産せずにy財を生産した方が、y財の生産量が大きくなるからです。

 さらに、自分が損をするような交換、つまり「x財1単位と交換されるy財の量」が自分の機会費用を下回るような比率での取引は行わないと仮定します。そのうえで考えると、自分はy財を自ら生産するよりも、x財を生産して交換によりy財を得る方が、より少ない機会費用でより多くのy財を手に入れることができると分かります。

 このように、自分はx財の生産に専念し、y財は交換によって手に入れることで、結果としてより多くの財を得られるようになります。これが「比較優位」の原理です。比較優位とは、機会費用の差に着目し、それぞれが自らの機会費用がより低い財に特化して交換を行うことで、全体の生産と選択の幅を広げることができるという考え方です。

 具体例や図を使って解説してもいいとは思ったのですが、より一般性の高い解説を専門用語や数式を使わずした方がいいと思ったので、今回は具体例や図は使いませんでした。比較優位の原理は大経済学者であるポール・サミュエルソンが「真でありかつ自明ではない命題」というほど、反直観的でありながらその成立にほとんど仮定を必要としない原理でした。


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