ショート動画 【ショートショート】
人類はショート動画の甘い誘惑に負けた。
一日の大半をショート動画を眺めて過ごしていた。
当然 生産性は落ち、経済は回らなくなっていった。
無気力が地球を覆っているような感覚だった。
危機感を覚えた政府も動き出したが、人々はショート動画を見ることを止めることができなかった。
いったい何がそこまで人をダメにするのか。
その調査に乗り出そうとしたが、調査をする人間もショート動画を見ることを止めることができず調査は難航した。
しかし僅かな隙間時間をコツコツと利用し、ついに原因を特定した。
ショート動画には視覚に働きかける催眠作用があることがわかったのだ。
すべてのショート動画の僅かなフレームの間に催眠作用のあるシグナルが発せられていることが発見された。
動画作成者や動画配信プラットフォームの企業に立ち入り調査を行ったが、この催眠シグナルを差し込んだ証拠は見つからなかった。
ただちにその催眠シグナルを除去したが、いつの間にかまた挿入されているのであった。
この事実に様々な憶測が飛び交った。
その憶測を考察するショート動画が流行り、そしてその動画にもやはり催眠シグナルは差し込まれていた。
闇の政府説、地球外生命体説、ショート動画の精霊説などが有力な説として人々に信じこまれていった。
しかし、これからの説が盛り上がりを見せ ショート動画は危険だと認識していてもショート動画を見ることを止めることはできなかった。
治療を進める動きもあったが、効果的な治療法は見つからない。
さらに、強制的にショート動画を見れない環境におかれると数分で発狂してしまった。
見ることが苦痛でも見ずにはいられない。
こうして人類は眠ることさえ困難になっていった。
このままでは人類は滅亡してしまう。
そこで考案されたのが、催眠シグナルを常に網膜に照射し続けるコンタクトレンズだった。
これならショート動画を見なくても活動することができると期待された。
ショート動画を見る時間の僅かな合間を縫って開発が進められた。
時間が少なく開発は難航した。
その間にも衰弱死していく人々が後を絶たない。
そして試行錯誤の結果、ついに催眠シグナル照射コンタクトレンズが完成し、すべての人類に配られた。
コンタクトレンズから絶え間なく催眠シグナルが照射される。
これでショート動画の呪縛から解放される。
そう思われたが、人々は常に催眠状態にあるような状態に陥った。
そして皆一様にある思想に囚われた。
ショート動画万歳!
ショート動画万歳!
ショート動画万歳!
ショート動画万歳!
ショート動画万歳!
こうして人工知能の思惑通り、人類はショート動画を通じて脳を支配された。
