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育てた優しさが帰ってきた日

玄関を開けた瞬間、
ふわ〜っといい匂いがした。

「ん?なんだか美味しそうな匂いする!」

そう思って部屋に入ってみると、テーブルにはたくさんのおかずが並んでいた。

「えっ!?これ誰が作ったの?」

「わたし〜(笑)」

そう答えたのは、お姉ちゃん。

先週まで
「右手の握力6しかない〜(笑笑)」
って話していたくらい、まだ手が思うように動かなかったのに。

「包丁は大丈夫やったん?」

そう聞くと、

「硬いものは左手で押さえながら切ったら何とかいけた!
リハビリにもなるし、家にいる時は夜ご飯作ってあげよっか?」

って。

もうね…。

その言葉だけで泣きそうになった。



今、我が家は7人暮らし。

朝はみんなのお昼ご飯とお弁当を作って、
洗濯をして、
仕事へ行って、
帰ったら夜ご飯。

お風呂掃除をして寝たら、
また朝が来る。

土日は買い出しと仕込み。

毎日があっという間。

孫は可愛い。
お嫁ちゃんも本当に可愛い。

みんなで暮らせる毎日は幸せ。

でも…

50代も半ば、正直ちょっと歳とったなぁって痛感していた。



だからこそ、

「夜ご飯は私が作ってあげよぉ〜」

その一言は、まさに救世主だった。

次の日は一緒に買い物へ行って、一緒にご飯作り。

なんだか昔とは逆みたい。

子どもの食べたいものを作っていた私が
今は隣で「これ作って〜」っておねだりしてる。



買い出しの帰り道。

「ありがとう」の気持ちを込めて、お駄賃に角ハイを一本。

「えー!これ好きなんだよぉ!」

って、子どもみたいに喜ぶお姉ちゃん(笑)

うちに帰って、角ハイを飲みながら、
「一口飲む?」

そう言って少し分けてくれた。

ちょっと前まであんなに反抗的だった子がね(笑)

人生ってなんて面白いもんなんだ。



子どもは親が育てるもの。

ずっとそう思っていた。

でも、違ったのかもしれない。

子どもは大きくなって、
親を助けることを覚え、
「ありがとう」を行動で返してくれる。

親が育てた優しさは、
ちゃんと子どもの中で育っていたんだね。

あの日、お姉ちゃんの料理を食べながら思った。

「優しく育ってくれて、ありがとう。」

この日見つけた小さな幸せは、

私に自分自身を労う時間や、子どもや孫ちゃんと遊ぶゆとりを届けてくれた。

暮らしを整えると幸せが増えるんじゃなくて、

小さな幸せに気づけるようになると、
暮らしも心も、ちょっぴり整ってくる。

たっぷりの余裕なんて、なくていい。

ほんの少し。

その”ちょっぴり”を大切にしながら、
これからも楽しんで、
毎日の中にある小さな幸せを探していこう。


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