内見は入るのに決まらない。売主が頑張りすぎていませんか?
内見が入ると、売主はどうしても力が入ります。
「今回こそ決まるかもしれない」
そう思えば、予定を変更し、部屋を整え、家の良さをできるだけ説明したくなるのは自然なことです。
ただ、内見は、売主が家を売り込む場ではありません。
購入希望者が、自分たちで買うかどうかを考える場です。
良かれと思って売主が前へ出すぎると、購入希望者が家族同士で話しにくくなったり、室内を見ながら考える時間が減ったりすることがあります。
予定も説明も、頑張れば頑張るほどよいわけではありません。
売主がするべきなのは、購入希望者が自由に確認し、自分たちで判断しやすい環境をつくることです。
長く不動産売却の現場で多くの内見を見てきた経験から、内見の連絡が入ってから当日まで、売主がどこまで対応すればよいのかを順番にお伝えします。
内見日時を決めるときは、すべての予定を変えなくていい
購入希望者から、
「土曜日の午後に見たい」
「明日の午前中はどうですか」
と希望が入ることがあります。
もちろん、対応できるのであれば内見の機会はつくった方がよいと思います。
ただし、毎回私用を変更してまで、すべての希望日時に合わせる必要はありません。
都合が悪ければ、
「その日は難しいですが、日曜日の午前中なら対応できます」
というように、無理のない別日を売主側の営業担当者から提示してもらいます。
購入意欲が高い方であれば、最初の日時が合わなくても、改めて別の日程を相談してくることがあります。
別日でも内見を希望するかどうかは、その物件への関心を確認する一つの材料にもなります。
これは購入希望者を試すという意味ではありません。
内見を安易に断るのでもなく、こちらが対応できる候補日を返して、その後の相談につなげるということです。
売却が長くなるほど、「今回こそ」と無理を重ねやすくなります。
ただ、売主自身が疲れてしまえば、その後の売却活動全体が苦しくなります。
内見が続くなかで売主が疲れやすくなる理由や、日程へ無理に合わせすぎない考え方は、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。
購入希望者が来る前に、まず室内を明るくする
内見前の準備というと、掃除や片付けをどこまでやればよいのか気になる方も多いと思います。
ただ、ここでは大がかりな準備よりも、まず第一印象を整えることを意識してみてください。
購入希望者が室内へ入った直後の印象は、その後の見方にも影響します。
内見前には、できれば室内の照明をすべてつけておきます。
差し支えなければ、カーテンも開けておく。
リビングだけでなく、廊下、洗面所、浴室など、暗くなりやすい場所も点灯しておきます。
普段暮らしている売主には気にならない暗さでも、初めて入る購入希望者には印象として残ることがあります。
完璧な片付けや高額な演出をする必要はありません。
売主が頑張るのであれば、長い説明を用意するよりも、まず室内を明るくしておく。
それくらいの準備でよいと思います。
内見中は、購入希望者について回らない
ここは、売主に特に意識してほしいところです。
ご自身が買い物をしている場面を思い浮かべてみてください。
商品を自由に見たいのに、店員がすぐ後ろをついてきて説明を続ければ、落ち着いて比較しにくくなります。
反対に、聞きたいことがあるのに店員がどこにもいなければ、それも困ります。
内見も同じです。
購入希望者が自由に見て、家族で話せる距離は保つ。
ただし、質問があったときには答えられるようにしておく。
相手の立場で考えれば分かることでも、自分が売主になると、
「何とかこの家の魅力を伝えなければ」
という気持ちが強くなり、つい忘れてしまうことがあります。
内見が始まったら、基本的な案内は買主側の営業担当者へ任せ、売主は購入希望者と一緒に部屋から部屋へついて回らないようにします。
少し離れて、購入希望者が自由に室内を見られる時間をつくります。
購入希望者は内見中、
「この広さで足りるかな」
「ここにダイニングテーブルを置けるかな」
「収納はどのくらい入るだろう」
「この部屋は誰が使うか」
など、実際に住んだ場合を考えています。
家族で来ていれば、その場で率直な感想を話すこともあります。
ところが売主がすぐ近くにいると、
「ここは少し狭いね」
「この収納だと足りないかも」
といった否定的な感想や迷っている点を、言いにくくなることがあります。
購入希望者が何も話さなくなると、買主側の営業担当者にとっても、何に迷っているのかを把握しにくくなります。
これは意外と重要です。
買主側の営業担当者は、内見中の会話や反応から、
「広さが気になっているのか」
「価格とのバランスを考えているのか」
「家族の中で意見が分かれているのか」
などを確認しながら案内しています。
売主が家の魅力を伝えようとして話し続けるほど、購入希望者が自分たちで考えたり、家族で話したりする時間を奪ってしまうことがあります。
沈黙しているからといって、説明が足りないとは限りません。
購入希望者が室内を見ながら、考えている時間であることもあります。
内見中の売主の役割は、話すことより、購入希望者が話せる空間をつくることです。
内見前に、売主はどこで待つのかを売主側の営業担当者と決めておくとよいでしょう。
収納など、どうしても見てほしくない場所がある場合も、内見が始まる前に売主側の営業担当者へ伝えておきます。
ただし、収納量も購入判断の材料になります。
見せない場所をむやみに増やすことはおすすめしません。
売主側と買主側では、営業担当者の役割が違うことがあります
内見には、売主から売却依頼を受けている売主側の営業担当者と、購入希望者を案内してきた買主側の営業担当者が立ち会う場合があります。
取引形態によっては、同じ不動産会社や同じ営業担当者が両方を担当することもあります。
ここで売主に知っておいてほしいのは、購入希望者への基本的な説明は、買主側の営業担当者が行うことが多いということです。
買主側の営業担当者は、それまで購入希望者と話をしながら、
どのような家を探しているのか。
何を重視しているのか。
ほかにどの物件を見ているのか。
何について迷っているのか。
といった情報をある程度把握しています。
そのため、売主側の営業担当者が同席していても、買主側の営業担当者を差し置いて前へ出て説明しないことがあります。
売主から見ると、
「うちの営業担当者は何も説明していない」
ように見えることがあるかもしれません。
しかし、それだけで説明不足とはいえません。
買主側の営業担当者がすでに説明していることもあれば、購入希望者とのそれまでの会話を踏まえて案内していることもあります。
売主自身も同じです。
「もっとこの家の良さを話した方がいいのでは」
と思っても、まずは買主側の営業担当者に案内を任せる。
その方が、購入希望者にとって自然な内見になる場合があります。
質問されたときは、住んでいる人にしか分からないことを端的に
もちろん、売主だからこそ答えられる質問もあります。
例えば、
「午後の日当たりはどうですか」
「普段の買い物はどこを利用していますか」
「この辺りの生活音はどうですか」
「実際に住んでいて便利だと感じるところはどこですか」
といったことです。
こうした、実際に暮らしている人にしか分かりにくい質問には、分かる範囲で答えればよいと思います。
ただし、誇張せず、端的に。
家の思い出や、高額だった設備、リフォームにいくらかかったかなどを長く説明しても、購入希望者が同じ価値を感じるとは限りません。
購入希望者が知りたいことと、売主が伝えたいことは、必ずしも同じではありません。
もちろん、必要な不具合や事実を隠してよいという意味ではありません。
また、売主側や買主側の営業担当者の説明に明らかな事実誤認がある場合や、重要な説明が抜けていると感じた場合もあるでしょう。
その場合は、購入希望者との会話へ割り込んで長く説明するより、売主側の営業担当者へ静かに伝える方が自然です。
内見前に売主側の営業担当者と、
「営業担当者が説明すること」
「売主が答えること」
を簡単に分けておくと、当日も迷いにくくなります。
次の内見では、この4つを意識してみてください
内見では、売主が何もしなくてよいわけではありません。
ただ、頑張る方向を間違えないことが大切です。
次に内見が入ったら、
1.無理な日時なら、対応可能な別日を返す。
2.内見前に照明をつけ、室内を少しでも明るく見せる。
3.内見中は、購入希望者について回らない。
4.質問されたら、住んでいる人にしか分からないことだけ端的に答える。
この4つを意識してみてください。
売主が内見を成功させようと前へ出るのではなく、購入希望者が自分たちで判断できるよう一歩引く。その方が、売主にとっても購入希望者にとっても、無理のない内見になります。
内見は入るものの申込みにつながらない、売主側の営業担当者から内見後の具体的な反応が十分に伝わってこない、と感じることもあると思います。
今の不動産会社への依頼を続けながら、内見後の反応や営業担当者へ確認したいことを、別の視点で整理するご相談も承っています。
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