止まったあとに残る静けさが、少し怖かった
誰かの期待。
自分の中の「ちゃんとしなきゃ」という感覚。
「いい人」でいなければ、という無意識の前提。
そういうものが、見えない糸になって私をどこかへ
引っ張り続けている。
うまく言葉にできないけれど、たぶん私は昔から、
止まることに少しだけ弱い。
止まることへの不安を、「動き続けること」で誤魔化
してきた気がする。
もし、今ここで足を止めたら。もし、誰かの期待に
応えるのをやめたら。
嫌われてしまうんじゃないか。
そうやって、自分の居場所が少しずつ削られていく
のが、怖かった。
だから、小さな無理を「当たり前」の顔をして飲み
込む。
自分の都合より、全体の円滑さを選ぶ。
そうしているほうが、波風が立たなくて、安心だと
思い込んでいた。
でも、そうやって「止まらずに走り続けること」で
保っていた安定は、
実はとても、もろいものだった。
内側のガソリンが切れているのに、外からの風に煽
られて、ただ回っているだけの風車みたいに。
あのとき、ふっと動けなくなったのは、
「止まること」を拒みすぎた結果だったのかもしれ
ない。
止まってもいいはずなのに…。
止まった後の、静かな景色を、私はまだ知らない。
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