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久しぶりに働く私が、現場で「生まれたての小鹿」になった日

「接客は、ほどよい距離感があるから心地いい」
今はそう思えているけれど、仕事を離れていた期間を経て、再び現場に立ったあの日は、見るも無残な「生まれたての小鹿」だった。

久しぶりの仕事。
開始数分、私は内心、どこかで仕事を舐めていた。

「これまでの経験があるし、きっと大丈夫」
「なんだ、こんなに静かなら、落ち着いてやれそう」
でも、そんな余裕は一瞬で吹き飛んだ。

一度客が入り始めると、空気が一変する。
次から次へと人が押し寄せ、視界が急激に騒がしくなる。

はい、頭が真っ白。

何を優先すればいいのか、脳内会議は大パニック。体はガタガタ震えて、自分の手なのに自分のものではないみたいだ。
「いい大人なのに」という情けなさが込み上げるけれど、お金を頂いている以上、フリーズしているわけにはいかない。

「落ち着け、私」震える足で、一歩を踏み出すことにした。
心の中ではずっと叫んでいた。
「なんで助けてくれないの」
「そんな無茶振りしないでよ」って。
ただ余裕がなかっただけなんだけど、あの時の私には、それが世界のすべてだった。

あれから、5年。
何度も同じような波を乗り越えるうちに、少しずつ変わっていった。
次に何が起きるのかが、なんとなく予測できる。
優先順位を考えられるようになり、手が止まる時間が減っていく。
気づけば、どんなに現場が混んでも、もう焦らなくなっていた。
あの時、絶望的に震えていた自分からは想像もできないくらい、自然に動けている。

たぶん人は、「できるようになる」んじゃなくて、「できるまでやらされる」ことで変わっていく。
その過程は、決して楽じゃない。
積み上げてきたプライドも自信も一旦横に置いて、逃げたくなる瞬間の連続だ。

でも、あのときの「小鹿状態」で踏みとどまったから、今の私がある。
もし今、当時の私と同じように、プルプル震えながら戸惑っている人がいるなら。
大丈夫、その「できなさ」は、ちゃんと未来の材料になる。
焦って、悔しくて、脳内が真っ白になるあの時間は、あとから振り返れば「私」という作品をつくるための、大切な下地だったりする。
だから、今は震えたままでいい。その震えは、あなたが新しい一歩を、一生懸命に踏み出そうとしている証拠だから。

#tamaの記録

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