トッピングは、ツッコミましましで――釜石ラーメン物語
週末の夜。
「何か美味しいものが食べたいな」と思って、久しぶりにラーメンを食べてきました。
そんなわけで、今夜はラーメン気分。
だったら、映画もそれにあわせて……。
釜石ラーメン物語
釜石でラーメン屋「小川食堂」を営む父と妹の所に、3年前に家を飛び出して音信不通だった長女・正実(井桁弘恵)が突然帰ってきた。
戻って早々厨房に立つ妹・仲良(池田朱那)に「おめえなんかにお母ちゃんの味は出せねえ!」と言う始末。
東日本大震災で行方不明になった母・正恵(佐伯日菜子)の代わりに、父・剛志(利重剛)が店を継いでいた。仲良は病気がちな剛志を助けて厨房に立っていたのだ。
姉妹の衝突が続いたある日、剛志がついに倒れ、入院することになる。
そこで正実は「小川食堂」が町の人たちにとってとても大切な場所になっていたことに気づくのだった。
そんな折、人気ユーチューバー・マリリン(木月あかり)が現れ、東北ご当地ラーメンのベストテン企画で「小川食堂」のラーメンを取り上げたいと言う。正実は「よし!おまえらに最高の一杯を食わせてやる!」と挑戦を受けた。
こうして、姉妹は父の手を借りずに、二人で母の味に迫るべく、最高の一杯を目指した奮闘が始まる!
<出演>
井桁弘恵/池田朱那/利重剛/渡辺哲/大島葉子/岡村洋一/
木月あかり/厚木拓郎/関口アナン/栩野幸知/佐々木琉/山崎将也/
森湖己波/長田涼子/椿かおり/島本和人/佐伯日菜子/
村上弘明(特別出演)/藤田弓子(友情出演)
<スタッフ>
脚本・監督:今関あきよし
プロデューサー:伊藤直克
脚本:いしかわ彰
撮影:三本木久城
主題歌「ひかり射し込む場所」洸美-hiromi-
主演の井桁弘恵さんと言えば、私の中では仮面ライダーゼロワンのイメージがすごく強い。
でも、よく考えれば、それ以外の演技は観たことがなかったかも。
良かったところ
①川沿いの桜、海
開始早々の川沿いの桜が見事でした。
また、エンディング前の空撮で海が見えてくるシーンは、家族の未来が、明るく広がっていくイメージと重なって良かったです。
②妹の想い
突然帰ってきた姉の正実(井桁弘恵)から「おめえなんかにお母ちゃんの味は出せねえ!」とダメ出しされ、父親の剛志(利重剛)からも「あいつは、がんばっているけど不器用で調理はできない」と言われる。
実は、他にやりたいことがあるのに、母の店を守るためにがんばってきたけど、「正実が帰ってきた」というだけで、店に客が戻ったり……。
報われない妹の仲良(池田朱那)には同情しました。
辛くて夜、1人で歩く仲良は、古いネオンサインを見上げて涙を流します。
がんばって点灯しようとしているけど、電球が切れているのか、配線の問題か、文字の一部しか光っていない。
それはまるで、努力しても母の味を出せない自分自身を見つめるような心境だったのかもしれません。
③透き通ったラーメン
タイトルにラーメンが入っていますから、見終えた時に「ラーメンが食べたい」と思わせたら勝ち。
そういう意味では勝ちです。
約80分の映画ですが、実際にラーメンが映る時間は短いのですが、それでも醤油ベースで透き通った、昔ながらのラーメンはおいしそうでした。
気になったところ
①マンガっぽい演出
冒頭、電車から降りる正実は、ホームに降り立つと、「ふぁ~あ」と大きく伸びをします。
昔の漫画でよく見ましたが、こんなこと実際にやる人はあまりいません。
「こりゃ、やばいかもしれない」と思いましたが、その後も正実のクサい演技(顔芸も含めて)が気になりました。
正実は、元不良という設定だからなのか、常にため口。病院の先生にも、お客さんにも。
私は、どんなにおいしいお店でも、お客さんにため口で接客する店には行きたくありません。
他に気になったのは、仲良の高校時代の先輩の土井君(佐々木琉)の登場シーン。
仲良とのやり取りを終えると、そこにいた正実に「初めまして、高校の時の先輩の土井って言います!」と元気に挨拶していました。
でも、「初めまして、土井です」と名乗る。そしたら仲良が「この方は高校の時の先輩だよ」って紹介するのが自然じゃないですかね。
さらに、仲良に「注文は何にします?」と聞かれると、サッと腕組みして「うーん」って……。
これもよく漫画で見かけるポーズだけど、わざわざ腕組みしてから「うーん」と悩む。こういうこと実際にやるかなぁ。
私が「注文は何にします?」と聞かれたら、メニューを見ながら、「そうだね……、じゃ〇〇で」みたいな感じじゃないかな。
一生懸命に演じているし、監督がこれをOKテイクにしているんで、俳優さんは悪くないのですが、その演出は気になりました。
②お父さんは結局……
お父さんは体調が悪いらしいのですが、何の病気だかよくわからない。
医者が言うには「過労だ」と。
でも、そんなに働いているシーンはない。いつもイスに座ってボーっとしている。
だけど姉妹がケンカを止めた時にバタッと倒れてそのまま入院。
倒れ方を見ても、ただの過労とは思えませんでした。
顔色は良いし、元気そうなんですけどね。
そんなわけで設定はよくわかりませんでしたが、演技は素晴らしかった。
疲れた父親の演技はできている。でも疲れる理由が描かれていないから、そのギャップに戸惑っちゃうんですよね。
③お母さんの味
お母さんの味を守るというのが、この家族にとっての重要なミッション。
なのに麺や醤油の仕入れ先を変えちゃうのって、あり得るんでしょうか。
常連は気づいていたのに、それを最後まで教えてあげないのも、なんか不自然。
知ってたなら教えてあげればいいのに「麺は前の方が美味しかったよ」って。
ちなみに、調理シーンはラスト30分になってから、しかも湯切りとねぎを切るだけ。
お母さんの味を再現するために足りなかったのは、麺・醤油・湯切り・ネギの切り方だけ。
だしの取り方、チャーシューの味付けとかはバッチリだったということ?
仲良は、3年間もがんばってたのに、それに気づかないとしたら、確かに調理は向いていないのかもしれない。
そもそも、このお店はラーメン以外にもメニューはたくさんあります。
守るべきお母さんの味って、ラーメンだけじゃない気がするけど?と、そっちも気になりました。
④美容師さん
常連客の一人、ユウ美容院の美容師さんは、実はお父さんに好意を寄せているようでした。
ちょいちょい、そんな雰囲気を出します。
最後のYouTubeの撮影時は、画面越しに娘たちを応援して、熱くなったお父さんが美容師さんの手を握ったら嬉しそう。
だけど、「お母さんの店を守りたい」という一途なお父さんに、変なちょっかい出さないでくれる?と、観ている方としては感じました。
この設定はない方が良かったかもしれません。
⑤お婆ちゃん
久しぶりに帰ってきた正実が、家に向かう途中で、転んでしまったお婆ちゃんを助けると、知り合いの方でした。
桜を見上げて「あと、何回見られるかねぇ」と言うと「今年で最後かもな」と、正実がふざけると頭をバチンと叩いたりしているので、子どもの頃から、よく知っている仲なのかもしれません。
が、このお婆ちゃん。店には一度も顔を出しません。
近所のお婆ちゃんなのに。あんなに仲良さそうだったのに……です。
不思議に思っていましたが、エンドロールを見て「友情出演」とあったので、ようやく「なるほど」と、理解できました。
ちなみに、このお婆ちゃんだけでなく、近所の方は、このお店に食べに来てくれません。
小川食堂の隣には「美容室ヨシカワ」があります。
私はてっきり、お父さんを好きなのは、この美容室の方かと思っていましたが、よく見たら違うお店「ユウ美容院」の方でした。
大方、正実が学生時代にぐれて迷惑をかけた結果、近所との関係が悪くなってしまったのだろうと推察しています。
ちなみに、「美容室ヨシカワ」の2軒先にも床屋さんの店先でくるくる回るサインポールがあります。
この地域、理容・美容業界の激戦区らしいです。
他にも、いろいろ気になる所はありましたが、話としては悪くない。
お決まりのパターンだし、ラストが想像できちゃうのですが、それでも、期待を裏切らない王道展開で、安心してみることができました。
軽くツッコミながら観ると面白い映画だと思います。
高校時代におでこに絆創膏を貼っていて「どうやったら、そんなところケガするんだろう」と思っていましたが、ちゃんと後半で伏線回収されます。
笑わせるつもりはないのかもしれませんが、ここは笑えました。
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大画面で観るラーメンは、それだけでワクワクしますよ。
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