第5話「欲しい!」の呪縛(じゅばく)を解く魔法 〜「すでに持っている宝もの(不求自得)」の見つけ方〜
こんにちは。みつきかんなです。
「ほとけさまが先生」の5回目のお話しにようこそ。
「あの子が持ってる、新しいゲームが欲しい!」
「もっと『いいね』が欲しい!」
「人気者のあの子みたいに、私もなりたい!」
あれも欲しい、これも欲しい…。
私たちの心の中には、「欲しい」という気持ちが、次から次へと湧き出てきます。
それは、大人も子供も同じです。
今日のお話は「ほしいほしい病」の方には必見の内容ですよ。
「欲しい」が「苦しい」に変わる時
「欲しい」と思う気持ちは、頑張る力になることもあります。
「マイホームがほしい」
「新車を買いたい」
「ペットを飼いたい」
でも、その「欲しい」が手に入らない時、私たちの心はどうなるでしょう?
「どうして私だけ、持っていないんだろう…」
「手に入らないなんて、自分はダメだ…」
そうやって、心が苦しくなってしまう。
仏教では、この「求(もと)めても手に入らない苦しみ」を「求不得苦(ぐふとっく)」と呼びます。
これは、お釈迦さまが説かれた八苦で、人間が感じる大きな苦しみの一つです。
いろんな場面でお話を聞いていても、「もっと認められたい」「もっと愛されたい」という「欲しい」気持ちが満たされないことが、心の不調の原因になっているケースは本当に多くあります。
では、どうすればこの「欲しい、欲しい」という苦しみから、心を自由にしてあげられるのでしょうか。

ほとけさま先生は、「心」というものの正体について、こう教えてくれています。
【ほとけさま先生のお言葉】
極(きわ)めて見難(みかた)く、極めて微妙(みみょう)にして、 欲(よく)に随(したが)いて赴(おもむ)く心(こころ)を、 賢慮(けんりょ)ある者(もの)は護(まも)るべし。 護られたる心は安楽(あんらく)をもたらす。 (法句経 第36偈)
ほとけさま先生のやさしい解説
ほとけさまは、「私たちの心というものは、とても見えにくく、あっという間にどこかへ飛んでいってしまう、すごく扱いにくいものだよ」と言っています。
特に「欲(よく)」、つまり「欲しい!」という気持ちを見つけると、犬がボールを見つけて走り出すように、心はそっちへ猛ダッシュしてしまうのです。
「賢慮ある者」、つまり賢い人は、その暴れ馬のような心を、上手に手なずける(=護る)ことを知っています。
そして、「護られた心」、つまり「欲しい!」という気持ちに振り回されなくなった心は、「安楽(あんらく)」、つまり穏やかで、幸せな気持ちを連れてきてくれる、と教えてくれているのです。
「求不得苦(ぐふとっく)」の反対は、「不求自得(ふぐじとく)」
「欲しい、欲しい」と外側にあるものを追い求め続けると、「求不得苦」という苦しみが待っています。
ほとけさまの教えは、そのまったく逆です。
「あれがなくても平気」「これがなくても、私は大丈夫」と思える心。
それが、ほとけさまの言う「護られた心」です。
この状態を表す、素敵な言葉があります。
それが「不求自得(ふぐじとく)」です。
これは、「求めなくても、自(おのず)から、すでに得ている」という意味。
「え? 何も手に入れてないのに?」
と思うかもしれませんね。
でも、考えてみてください。 「あれが欲しい!」と心が暴れている時、君は苦しい。
「まあ、なくても平気かな」と心が静かな時、君は苦しくない。
そう、君が「求めない」ことを選んだ瞬間に、君はすでに「安楽」という、何物にも代えがたい宝ものを「得ている」のですよ。
これこそが「不求自得」の素晴らしい状態で、ほとけさまが伝えたかった「護られた心」の姿なのです。
かんな住職の、もう一言
現代社会は、「これを持てば幸せになれる」「これを買えば満足できる」と、私たちの「欲しい」という欲を刺激する情報で溢れています。
という私も、ショッピングのサイトをいつもチェックしていますが。
しかし、その欲に振り回され続けると、心が疲れ果ててしまいます。
心理学では、「足るを知る」こと、つまり「今あるものに目を向けること」が、心の安定(ウェルビーイング)に非常に重要だとされています。
「不求自得」とは、決して「何も欲しがるな」という厳しい教えではありませんよ。
今、自分がすでに得ているものに目を向けることって難しいことですね。
「外側に何かを求めなくても、あなたの内側には、すでに『安楽』という幸せが備わっているんですよ」という、ほとけさま先生からの温かいメッセージなのです。
今日の心のワーク:「すでに持っているもの」探し
「ないもの」ではなく、「あるもの」に目を向ける練習です。
【やってよう!ミッション】
寝る前に3つ数えよう: 夜、お布団に入ったら、今日君が「すでに持っていたもの」を3つ、心の中で数えてみよう。
「あたたかいお布団がある」
「お腹いっぱいご飯を食べられた」
「話を聞いてくれる家族がいる」
「今日も無事に目が覚めた」
どんなに小さなことでも大丈夫よ。
「ありがとう」とつぶやいてみる: その「すでに持っていたもの」に対して、そっと「ありがとう」と心でつぶやいてみよう。
「求めなくても、私はこんなに持っていたんだな」と気づくことが、「不求自得」への第一歩です。
【保護者の皆様へ】
お子様が「あれ買って!」「これが欲しい!」と強く要求する時、その裏には「持っていないことへの不安」や「友達と同じになりたい焦り」が隠れているかもしれません。
子どもの物欲や所有欲も歯止めが効かなくなったら大変でしょう。
「そうか、あれが欲しいんだね」と、まずはその「欲しい」という気持ちを一度受け止めてあげてください。
その上で、「でも、もしそれがなかったら、本当に不幸なのかな?」と、一緒に考える時間を持ってみてはいかがでしょうか。
「あなたは、あのゲームを持っていなくても、〇〇ちゃんの大切な友達だよね」
「これを買わなくても、お母さんはあなたのことが大好きだよ」と。
モノを「得る」こと以上に、「すでに在るもの」に気づき、「なくても平気」と思える心の強さ(安楽)を育むこと。
この「不求自得」の考え方が、情報やモノに溢れた現代を生き抜く、お子様の一生の「宝もの」になるはずです。
