本家より、本来の特徴が出る。梅雨に飲むNZソーヴィニヨン・ブランという逆説
バローロを開けた翌日、少し後悔したの。
梅雨には、重すぎた。
(わかっていたのに、なんとなく開けてしまったのよね)
この時期の私がいつも戻るのは、ソーヴィニヨン・ブラン。それも、フランスではなくニュージーランドのもの。特にマールボロ産。
ここで「なぜフランスじゃないの?」と思った人に、少し話をさせてください。
ソーヴィニヨン・ブランは、もともとフランスのワイン
ソーヴィニヨン・ブランの本家は、ロワール地方とボルドー。サンセールやプイィ・フュメが有名ね。フランス産のSBは上品で、ミネラル感があって、少し繊細。
でも、この品種が持つ最大の特徴——あの緑のハーブの香り——を一番はっきり出してくれるのは、なぜかニュージーランドなの。
青草、スモーキーなハーブ、時にグレープフルーツ。一口飲んだ瞬間に「これだ」とわかる、あの緑の香り。
ブラインドテイスティングで、SBを見分けるときの決め手はここよ。
(これを外したら、ソムリエ試験はムリね)
テロワールという言葉の、面白い逆説
ワインの世界では「テロワール」という言葉がある。土壌、気候、地形——その土地ならではの個性がワインに出るという考え方。
だとしたら、本家フランスのほうがフランス的なSBになるはずよね。
でも現実は逆なの。
マールボロの強烈な日照と冷涼な夜が、SBのピラジン化合物を豊かに生成する。これがあの緑のハーブ香の正体。フランスのSBは、むしろそれを抑えて上品に仕上げる方向に進化した。
つまり、品種本来の特徴を一番素直に表現しているのは、本家ではなく、ニュージーランドのほう。
テロワールって、本当に面白いわね。
「猫のおしっこ」という、最高の褒め言葉
ここで少し笑ってしまう話を。
SBは「猫のおしっこのような香り」と表現されることがある。ワインの専門用語として、本当にそう言うの。
初めて聞いたとき、どう反応すればいいか迷ったけれど、これもピラジン系の香りで、良質なSBの証のひとつとされている。
慣れると「ああ、これこれ」という感じになる。
ワインの世界は、褒め言葉が独特よね。
梅雨に飲むべき理由
重いワインが体に響く季節。湿度が高くて、気圧が低くて、なんとなく気持ちも重い。
そんなとき、シャルドネのバターとオークはちょっとしんどい。
NZのSBは、スッキリしている。ハーブの香りが鼻を通ると、少しだけ空気が変わる気がするの。
灰色の空に、緑の香り。
理屈じゃなくて、体が求める組み合わせなのかもしれないわ。
今年の梅雨のおともに、一度試してみて。
— Moneypenny

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